「院長が苦手」
「正直、合わないかも…」
「うまくやりたいけど、どう接したらいいのかわからない」
そんな悩みを抱えている歯科衛生士さんは、少なくありません。人間関係の悩みは、多くの歯科衛生士が抱く共通の課題でもあります。
歯科医院で働くには、技術や知識だけではなく、院長との人間関係も重要な要素となります。院長と良好な関係を築くことで、職場環境が向上し、患者さんへのサービスもより良いものとなります。
この記事では、院長との人間関係に悩む歯科衛生士さんに向けて、実際に私もやっていた「院長とうまくやるための裏ワザ」を具体的に紹介していきます!
院長を手のひらで転がしたいなら
「苦手な院長とも、もっとスムーズに関われたら…」と思ったことはありませんか?職場の人間関係は、毎日の気分や働きやすさにも直結するもの。特に院長との関係性は、歯科衛生士にとって避けては通れない重要なテーマです。
「挨拶しても返ってこない」
「自分の意見を受け入れてもらえない」
「何を考えているのかわからない」
…そんなモヤモヤを抱えていると、自然と仕事へのやる気も削がれてしまいますよね。
実は、院長との関係を良くするには、相手を変えるのではなく「こちらの関わり方」を少し変えてみるだけで、驚くほど空気感が変わることがあります。完璧なコミュニケーションを目指さなくても大丈夫です。ちょっとした気づきや一言、心の持ちようが、関係性をグッと前向きにしてくれます。
ここからは、実際に私が経験したことや、周りの歯科衛生士が実践して効果のあった「院長とうまくやっていくための具体的なコツや工夫」を紹介していきます!
院長を知り、攻略する
院長とうまく関係を築いていくには、まずは“院長を知る”ことがスタート地点。
「なんか合わない」「苦手」と感じる前に、相手を理解しようとする姿勢を持ちましょう。知りもしないまま嫌悪感を持っていては、関係改善は望めません。まずは、院長の性格や価値観、判断基準、行動パターンを冷静に観察してみましょう。分析して、どう接すれば心を開いてくれるかを探る視点が必要です。
以下のようなポイントを観察すると、接し方のヒントが見えてきます。
- 忙しい時に話しかけると不機嫌になるタイプか
- 褒められると機嫌が良くなるタイプか
- 朝と夕方、どちらが話しかけやすいか
- 仕事に対して几帳面か、大雑把か
- 患者さんに対して厳しいか、優しいか
- スタッフへの接し方に一貫性があるか
- 経営面に強い関心があるか、治療に集中しているか
- 感情表現が豊かか、淡々としているか
こうしたポイントを日々の業務の中で観察することで、院長の「取り扱い説明書」が見えてきます。相手の傾向を理解しておくと、タイミングを見計らった声かけや、ストレスの少ない関わり方がしやすくなります。ゲーム感覚で「攻略する」視点を持つと、意外とラクになりますよ!
院長の尊敬できるところを10個挙げる
どんなに苦手な相手でも、尊敬できる点は必ずあります。仕事上の能力や責任感、治療方針のこだわりなど、小さなことでもOKなので、紙に書き出してみましょう。「ムリムリ、1つもない…」と思う人は、仕事ぶりや医院経営のことにも目を向けてみてください。
- 治療が早くて的確
- 経営者として責任感を持っている
- 患者対応が丁寧
- スタッフ教育に熱心
- 院内を常に清潔に保っている
- 新しい技術や機材の導入に積極的
意外と尊敬できるポイントは見つかるはずです。ポイントは、“無理やりでもいいから”10個出してみること。診療中でもいいので、院長のことを観察して、まずは10個探してみましょう!
嫌いなところや苦手なところばかりに目が行ってしまうと、関係は悪化する一方です。いいところを見つけると自分の中での意識が変化し、意識が変わると自然と、コミュニケーション時に尊敬のニュアンスが含まれるようになり、態度も変わります。結果的に関係が柔らかくなり、話しやすい雰囲気が生まれやすくなっていきますよ。
私がやってた〇〇教えます!
実際に筆者が最も効果を感じたテクニックは「1日1回、院長を褒める」こと。どんな些細なことでも構いません。と言っても、大げさな称賛をする必要はなく、ちょっとした一言を意識して伝えるだけでOK。ポイントは「本気で思っていなくてもいいから、相手が嬉しいと思う言葉を選ぶ」ということです。
- やっぱりすごいですよね。先生だからですよね。
- 今日の治療、早くないですか?びっくりしました!
- 患者さんが喜んでいましたよ。先生、さすがですね。
たったこれだけで、びっくりするほど院長の態度が変わることがあります!ちょっと褒めると、ニコニコになってくれる先生も多いです。褒めることは相手の承認欲求を満たし、信頼関係を築く強力な手段になります。人は「認められている」と感じると、それだけで相手に対して心を開きやすくなるんです。
私が勤務していたクリニックの院長にはこの方法が非常に効果的で、褒めた後は上機嫌で業務が円滑に進みました。1日1褒めを続けるうちにだんだん機嫌が安定し、話しかけやすくなっていきました。
最初は褒めるほうも照れくさいし、お世辞っぽく感じ「そんなことして意味あるの?」と思うかもしれませんが、褒める側の自分自身も、院長の“良いところ”を探すクセがついてきて、不思議とネガティブな感情が減っていったんです。
「苦手」を「普通」へ、そして「ちょっといいかも」へと変えていくのは、ほんの小さなきっかけから。1日1褒めは、その第一歩として本当におすすめの方法です。一番大切なのは、「自分がどう見られるか」よりも「どうすれば関係が良くなるか」に意識を向けること。たった一言の積み重ねが、信頼や安心感に変わっていきます!
↓「褒める」技術は患者さんとのコミュニケーションにも生かせます♪

院長と良い関係を築くために
院長はあなたの上司であり、医院のリーダーでもあります。立場の違いを理解し、相手の意図や考えを汲み取る努力が重要です。院長が目指す診療方針や医院の目標を把握し、自分の業務に反映させることで、信頼関係をより強固にすることができます。
また、最近では「チーム医療」という考え方も広く浸透してきました。歯科医院でも、院長をはじめとする歯科医師、歯科衛生士、歯科助手、受付スタッフなどが、それぞれの役割を尊重しながら連携することで、より良い医療サービスを提供することが求められています。
歯科衛生士としても、自分の専門性を活かしつつ、チームの一員としての自覚を持つことが大切です。院長と対等な立場で協力し合う意識を持てば、職場全体の雰囲気も良くなり、やりがいを感じられる場面も増えていくと思います。
院長先生のビジョンって聞いたことある?
毎日忙しく働いていると、つい目の前の業務で手一杯になってしまい「そもそもこの医院って、どんな方向を目指してるんだろう?」と疑問に思うこと、ありませんか?多くの歯科衛生士さんが、院長のビジョンや理想の医院像を知らずに働いているのが現状です。ですが実は、そこに気づくだけで自分の働き方や役割への理解がグッと深まります。
ビジョンは、契約書には書いていない!
私たち歯科衛生士が入職時に受け取るのは、就業規則や業務マニュアル。そこには勤務時間や仕事内容、報告ルールなどの“表向きのルール”は書かれていますが、院長が「どんな医院を作りたいと思っているか」「どんな価値観で仕事をしているのか」といった“想い”までは記載されていません。ビジョンは就業規則にも契約書にも書かれておらず、院長に直接聞かないとわからない情報なんです。
それなのに、私たちはその想いを知らないまま働きつづけ、その結果「先生、何考えてるかわからない」「なんか合わない」と感じてしまうことになっているのではないでしょうか。
院長が「どんな医院を作りたいと思っているか?」を知ることで、「この先生は患者さんの予防意識を育てたいんだな」とか、「医院の成長を重視してるから数字に厳しいんだ」といった背景が見えてきます。そこがわかれば、自分の行動にも納得感が生まれ、院長との接し方にも余裕が出てくるはずです。
院長のビジョンを知ることで、自分の動き方が変わり、より貢献できるスタッフとして認識されるようになります。
歯科医院のルールは守りましょう
歯科医院は小さな組織だからこそ、一人ひとりの行動が職場全体の雰囲気に大きく影響します。
たとえば、
- 出勤時間に毎日ギリギリで滑り込む
- 制服にシワが目立つ
- 指示が曖昧なまま勝手に判断して動く
こうした些細な行動でも、「信用できない人」と見なされてしまうことがあります。基本的なルール(時間厳守、制服の着用、報告の徹底など)を守ることは、信頼を得る最短ルートです。どれだけ能力が高くても、ルールを守らない人は信用されません。
とくに院長は、スタッフのそういった“ちょっとした行動”をよく見ています。大げさに何かをしなくても、当たり前のことをきちんとこなす姿勢が、信頼関係を築くうえで非常に重要です。医院のルールを守ることは、単なる義務ではなく、自分の評価を上げるチャンスでもあるのです。
なんでも話せる関係性になっていきましょう
積極的に会話をすることで、院長との距離が縮まります。小さな情報共有の積み重ねが、大きな信頼へとつながります。とはいえ、「話しかけにくい」「何をどこまで伝えたらいいかわからない」と悩むこともありますよね。特に院長が忙しそうにしていたり、いつもピリッとした空気をまとっている場合、こちらから声をかけるのに勇気がいることもあるでしょう。
それでも、“あえて話す”ことが信頼構築の鍵になります。最初はただの業務報告からでも構いません。少しずつやり取りの頻度を増やし、ほうれんそう(報告・連絡・相談)とおひたしを意識して、業務の延長で自然と会話できる関係性を築いていきましょう。
職場での円滑なコミュニケーションのための基本ルール。
- 報告:仕事の進捗や結果を伝える
- 連絡:必要な情報を共有する
- 相談:困ったときや判断に迷うときに助言を求める
- お…怒らない
- ひ…否定しない
- た…助ける
- し…指示する
報連相は「伝える側」の基本、おひたしは「受け取る側」の姿勢ってことになります。
報連相は仕事の基本であると同時に、「あなたを信頼しています」「チームとして動きたいです」というメッセージにもなります。報告の場では曖昧な言い方を避け、事実を簡潔に伝えることが大切です。連絡は“相手が知らなければ困る情報”を優先的に伝えるクセをつけましょう。相談は「どうしたらいいですか?」だけでなく、「私はこう考えていますが、どうでしょうか?」というスタンスを持つと印象が良くなります。
おひたしは、報連相をさらに円滑にするためのポイント。上下の立場は関係なく話し方の基本となる部分です。「怒らない・否定しない」を実践すれば、指摘された内容を冷静に受け止められるようになり、院長側からの注意や指示を受けるときにこそ活かされます。「助ける・指示する」は、後輩や同僚と関わる際にも役立ちます。
報連相とおひたしを実際の現場で両方を柔軟に使いこなすことが、よりよい人間関係を築く鍵になります。
仕事以外の話をしてみましょう
仕事だけの関係でも問題はありませんが、時にはプライベートの話題を挟むことで、コミュニケーションが深まりやすくなります。もちろん話す内容には注意が必要ですが、「最近ハマっていること」「週末の過ごし方」など、ライトな話題で十分です。適度な雑談が、職場の空気を和らげる効果もあります。
特に、普段からあまり会話がない院長と関係を築きたいと思っている場合は、“雑談のきっかけ”を見逃さないことが大切です。たとえば、院長が新しい靴を履いていたら「先生、それ新しいですね!おしゃれですね」と声をかけてみるだけでも、喜ばれるものです。
共通の趣味が見つかればそこから距離が一気に縮まることもありますし、何気ない一言が「この子、ちゃんと見てくれてるな」と好印象を与えることにもつながります。もちろん無理をしてまで話す必要はありませんが、“仕事の合間に交わすひと言”が、信頼関係の第一歩になることも多いのです。
自分のメンタル維持をしていく
人間関係に悩んで心をすり減らしてしまっては本末転倒。まずは、自分の心と体の声に耳を傾けることが大切です。働く環境がストレスの原因になっていると感じたら、無理をせず、意識的にバランスを取る工夫をしましょう。
以下のようなことを意識してみてください!
-
仕事とプライベートのバランス
-
リフレッシュの時間を確保する
-
つらいときはカウンセラーに相談もアリ
-
深刻な悩みやストレスがある場合は、専門機関への相談も検討
ワークライフバランスを意識し、オフの時間に仕事のことを引きずらない工夫をしましょう。スマホを見ない日を作るのも◎です。お気に入りのカフェに行く、趣味に没頭する、自然の中を歩くなど、“自分に戻る時間”を持ちリフレッシュすることが大切です。
どうしてもツラい時は、プロに頼りましょう。メンタル不調は誰にでも起こりうるもの。気軽に話せる第三者の存在は心の支えとなります。心身に不調をきたすほどストレスを感じるようになったら、心療内科やストレスケアの専門機関を活用するのもひとつの選択肢です。
歯科衛生士として、患者さんの健康を支える立場だからこそ、自分自身の健康管理も同じくらい大切にしてほしいのです。まずは、自分を大切にするところから。そうすることで、人間関係のストレスも自然と軽減されていきます。
院長に嫌われている?それ、思いこみかも!
「院長が自分にだけ当たりが強い気がする…」「院長と話すたびに緊張してしまう…」そんなふうに感じる歯科衛生士さんも多いのではないでしょうか。特に、自分なりに頑張っているのに評価されない、無視されているように感じると、「嫌われているのかも」と不安になってしまいますよね。
ですが、その“もしかして…”は、本当に事実でしょうか?
忙しい院長は、スタッフ一人ひとりの感情に寄り添う余裕がない日もありますし、もともと表情が硬かったり、反応が薄いタイプの方もいます。自分が気にしていることが、相手にとっては単なる無意識な行動である可能性も大いにあります。
院長は医院の代表であり、スタッフを感情で裁く立場ではありません。多少そっけなく感じたとしても、それが「嫌われている証拠」とは限りません。
- 挨拶をしても返事がなかった
- 報告をしたのにリアクションが薄かった
そんな日があったとしても、それは単に忙しさや緊張感、院長自身の性格によるものかもしれません。院長も一人の人間であり、余裕がない時や、複数の業務に追われているときには表情や態度に出ることもあります。それを「嫌われている」と受け取ってしまうと、こちらの態度もぎこちなくなり、必要以上に委縮してしまい、自分から距離を取ってしまうことに繋がりかねません。
まずは、「本当に嫌われているのか?」「思い込みではないか?」、冷静に自分と院長の関係を見直してみましょう。「冷たい態度を取られるのは毎回か?」「感謝されたり、ねぎらいの言葉をかけられたことは一度もないか?」と振り返ってみると、意外とポジティブな要素が見つかることもあります。
院長とは、仲良しの友達のような関係になる必要はありません。信頼あるビジネスパートナーとしての関係性を目指しましょう。適切な距離感を保ちつつ、プロとして信頼を築いていく意識が、長く働きやすい関係性をつくるカギとなります。
問題が解決しない場合は転職を視野に
どうしても関係が改善しない場合は、自分を守るために職場を変えるという選択肢もあります。「もう少し頑張ってみよう」「私が我慢すれば丸くおさまるかも」と、自分を追い込んでいませんか? でも、あなたの心や体を壊してまで、その職場にいる必要はありません。
人間関係が原因で毎朝憂うつな気持ちで出勤していたり、家に帰っても仕事のことが頭から離れなかったり…そんな毎日を送っているとしたら、それは“限界のサイン”かもしれません。転職は逃げではなく、自分らしく働くための前向きな決断です。 それは「甘え」でも「根性なし」でもありません!むしろ、自分の人生とキャリアを大切にする“勇気ある一歩”なんです。
新しい環境に移ることで、あなたがもっと伸び伸びと働ける職場に出会えるかもしれません。「ここなら自分を出せる」「やっと理解してもらえた」と思える院長やスタッフと出会えたら、これまで抱えていた悩みがウソのように軽くなることもあります。
無理をして頑張りすぎず、「合わない場所から離れることも、自分を大切にする手段なんだ」と、自分自身に優しく認めてあげてください。転職は、歯科衛生士としてのキャリアをより良くするための“可能性の扉”でもあります。
自分の人生を楽しく過ごしていくために
院長との関係性は、歯科医院で働くうえで避けて通れない、とても大切なポイントです!
今回お伝えしてきたように、「攻略する」「尊敬できる点を見つける」「1日1褒め」「報連相とおひたしの実践」など、関係性を良くするための工夫はたくさんあります。すぐにすべてを完璧にやろうとしなくて大丈夫。少しずつ、自分のペースで取り入れてみてください。
歯科衛生士の仕事は、ただの「作業」ではありません。院長やスタッフと協力し、患者さんにとっての最善を一緒に考えていく、やりがいのある専門職です。だからこそ、職場の人間関係が良好であることが、仕事の充実感にも直結してきます。
私自身も人間関係に悩み、「もう無理かも」と思った経験があります。でも、相手の見方を変えたり、自分の言動を意識的に調整することで、少しずつ関係性が変わっていったという実感があります。そしてその小さな変化が、やがて大きな安心や働きやすさにつながっていきました。もちろん、どれだけ頑張ってもうまくいかないこともあります。そのときは自分を責めるのではなく、「自分に合った場所を選び直す」ことも前向きな選択肢です。
大切なのは、自分の人生をどう過ごしたいか。その中に「気持ちよく働ける職場」「自分を大切にできる人間関係」があるなら、今回の内容がその第一歩になれたら嬉しいです。
人間関係を味方にすれば、歯科衛生士としての仕事はもっと楽しく、もっと自由になります!
院長との関係に悩んでいる歯科衛生士さんはこちらもお読みください↓
