認定歯科衛生士に挑戦した私の実体験!取得するメリットと取得方法をわかりやすく解説

歯科衛生士として日々の診療に向き合っていると、

「もっと専門性を高めたい」
「患者さんや医院により貢献したい」

そう感じる瞬間はありませんか?

“今のままの知識や技術でいいのだろうか…”
“もっと深く学べたら、患者さんにできることが増えるのにな…”

そんなときの一つの目標になるのが「認定歯科衛生士」という資格です。

この記事では、認定歯科衛生士を取得する流れと、目指すことで得られるメリットについて、臨床歯周病学会認定歯科衛生士である私自身の体験談を交えてお話しします!

ともり
D.HIT編集部 ともり
歯周治療専門医院に9年間勤務。結婚、引越しを機に新人教育を専門に担当するDHに。 臨床歯周病学会認定歯科衛生士。歯周治療に対して熱い思いを持っている。 出産退職、専業主婦を経験したのち、『歯周治療の経験を生かして働きたい、家族との時間も大切にしたい!』という思いから一念発起しフリーランスDHに。現在は歯周治療に力を入れた新規医院のオープニング研修を担当しており、フリーランスDHとして日々奮闘中。

私が認定歯科衛生士を目指したきっかけ

私が認定歯科衛生士を目指そうと思ったきっかけは、勤務先の医院でした。先輩の歯科衛生士たちが、それぞれ認定資格に挑戦し、次々と取得していく姿を目にするうちに、自分も背中を押されるように「やってみよう」と思ったのです。

もともと、認定歯科衛生士という資格に対して、なんとなく憧れのような気持ちを抱いていました。“いつか挑戦できたら素敵だな”…そんなふんわりとした想いが、新人の時から心の片隅にずっとあったんです。

でも、それがついに「今ならいけるかもしれない」という気持ちに変わる瞬間がやってきました。

当時は日本歯周病学会の認定資格しか知らなかったのですが、ちょうどその頃、新しく日本臨床歯周病学会の認定歯科衛生士制度」がスタートしたタイミングでもありました。新しく制度ができたばかりということもあって、これからこの学会が広がっていくのかなという雰囲気がありました。それがなんとなく面白そうで、「新しいなら、私も一緒にやってみようかな」そんな素朴な気持ちがふっと湧いてきました。大きな決意というよりも、ただ純粋に「始まったばかりのものにチャレンジしてみたい」というワクワクした気持ちでした。

ちょうどそのタイミングで、資格応募に必要な経験年数も満たしていたこと。そして、勤務していた医院が定期的に写真やレントゲン、記録をしっかり残す環境だったので、症例提出に必要な資料の準備もスムーズに整っていたこと。これは本当に大きかったポイントです。さらに、院内には認定医の先生やすでに認定資格を取得した先輩もいたため、疑問があればすぐに相談できたり、症例の方向性を確認してもらえたり、挑戦するにはとても恵まれた環境。

そうしたいろんなタイミングがきれいに重なって、「いつか取りたい」と思い描いていた資格取得のタイミングが、まさに目の前にやってきた!という感覚がありました。そこでようやく、「よし、やってみよう」一と思えたんです。

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認定歯科衛生士を取得するまでの流れ

ここでは、「認定歯科衛生士って、実際どうやって取得していくの?」という流れを整理してお話ししていきます。

私が挑戦したのは、「日本臨床歯周病学会 認定歯科衛生士」の資格です。

資格取得までの流れを大きく3つのステップに分けて、私の体験を交えながら紹介します。「認定資格ってどんなステップで進むのか」をイメージする参考になれば嬉しいです。

1. 受験資格の確認

まずは、「自分が受験資格を満たしているか」を確認するところからスタートです。

現在、臨床歯周病学会の応募資格は、以下のような条件になっています。

  • 歯周治療に関わる臨床経験がある(通算3年以上)

  • 日本臨床歯周病学会に所属している(継続して2年以上)

  • 学会の研修や年次大会への参加経験がある(3年間で2回以上)

  • 学会主催の研修会などで必要な教育研修単位を取得している(30単位以上)

  • 非喫煙である

  • ステージⅡ以上の歯周炎患者1症例、筆記試験

このように、どんな資格にも必ず「応募資格条件」があります。この条件は数年ごとに少しずつ見直されることがあるので、自分が目指す資格の最新の条件を確認しておくことが大切です。

たとえば、提出しなければならない症例の内容が変わっていたり、学会への参加年数の要件が変わっていたり…。私自身も、認定歯科衛生士を取得したときと今の条件を比べてみると、いくつか違いがありました。「以前はこれで大丈夫だったけど、今はもう少し準備が必要なんだな」と、改めて気づかされることもありました。こうした違いを知っておくと余裕をもって準備を進められるので、資格に挑戦するときは必ず、最新の応募条件を随時チェックしておきましょう!

2. 学会・研修へ参加し単位を取得する

受験資格を満たすためには、

  1. 日本臨床歯周病学会に2年以上所属
  2. 学会の研修や年次大会へ参加(3年間で2回以上)

  3. 学会の研修会などで必要な単位を取得(30単位以上)

学会に所属して、この3つの条件をクリアしていく必要があります。

私が取得した当時にはなかった条件ですが、現在は臨床歯周病学会認定歯科衛生士を目指すには学会に2年以上在籍していることが必須となっています。つまり、すでに3年以上の臨床経験があっても、学会の在籍期間が足りないと受験資格を満たせない、ということ。もし「いつか認定を取りたいな」と思っているのなら、まずは学会に登録して在籍しておくだけでも、あとでスムーズに準備を進められますよ!

学会に在籍したら、研修会や年次大会へ積極的に参加しましょう。研修会は、最新の知識や実践を学ぶ絶好の場です。私も初めは少し緊張しましたが、実際に参加してみると、どんな内容のことをやっているのか、学会自体がどんな雰囲気なのかがよくわかり、普段の診療でどんなところに着目したらいいかなど気づきがあって、自然と準備のイメージが湧いてきました。

学会は北海道から沖縄まで、日本全国で開催されています。自分の都合のよい場所で参加できると便利ですが、参加回数を重ねるうちに「あと1回参加すれば単位がそろう!」というタイミングで、遠くの開催地になってしまうことも…。遠征するのもいいですが、できるだけ近くで参加できると助かりますよね。ですので、行きやすい学会には早めに積極的に参加しておくことをおすすめします。そうしておくと、後で慌てずに単位を揃えることができます。中にはオンデマンドで視聴できるものもありますので、チェックしておきましょう!

こうした研修への参加は、資格取得に必要な単位の取得にもつながるので、コツコツ積み重ねていくことが大切です。

単位の取得は、学会や研修会への参加だけでなく、歯科医師会や歯科衛生士会での発表、その他の学会活動も含まれます。こうした経験を少しずつ積み重ねていくことで、資格取得への道が具体的に見えてきます。

多くの学会参加は有料ですが、歯科医院によっては学会参加費用を補助してくれる場合もあるので、お勤めの歯科医院に確認してみてくださいね!

学会や研修会参加のポイント
  • 早めの参加で、会員歴と研修単位を計画的に確保!
  • 発表の雰囲気や症例構成、用語の使い方を観察!
  • 参加費や開催地を事前に確認し、医院の補助制度も活用!

3. 試験への挑戦、合格・認定取得へ!

参加条件が揃ったら、いよいよ試験のステージです!

症例報告の準備を進める

認定資格を目指すうえで、症例報告の準備は欠かせない大きなステップです。そのために、まず大切なのは 日々の診療記録をどれだけ丁寧に残せるか ということ。

特に意識したいのは、「初診の記録は一度きり」という点。写真、レントゲン、ポケット測定、口腔内所見など、最初の情報をしっかり残しておくことで、その後の経過がスムーズにまとめられます。

症例報告書を作成する際には、学会が定める治療のガイドラインに沿った用語を使うことが求められます。だから、学会や研修会での症例発表を聞くときは、

  • どんな順番で症例が組み立てられているか
  • どんな専門用語が使われているか
  • どこにポイントを置いて説明しているか

こうした部分を意識して聞いておくと、そのまま自分の症例作成の際に役立ちます。

症例の提出、試験

提出する症例が決まったら、まずは学会のホームページから症例報告の書式一式をダウンロードします。フォーマットに沿ってまとめていくことで、必要な項目の漏れも防げますし、全体の流れも作りやすくなります。

私が受験したときは、5症例の提出とそのうち1症例をもとにした口頭試問がありましたが、2026年度第1回申請分から、臨床歯周病学会認定歯科衛生士の新規申請制度が変更となりました。これまで行われていた複数症例の提出や口頭試問は廃止され、現在は以下の内容が求められています。

2026年度〜
  • ステージⅡ以上の歯周炎患者症例の提出

  • 筆記試験の受験(年次大会時、前日実施予定)

試験日程や試験内容は、最新情報を必ず学会ホームページで確認しましょう。

これら全てに合格すると、晴れて『認定歯科衛生士』として登録されます。これまで積み重ねてきた学びや臨床経験、試験への挑戦が正式に形になる瞬間です!

私が実際の準備で大変だったところ

症例提出の段階で私が特に苦労したのは、やはり「時間の確保」でした。症例のまとめ作業は診療時間中には進められないので、基本は診療後や休日にコツコツやる、というスタイル。疲れている日もあって、なかなか集中できなかったり、思ったより時間がかかったりと、正直しんどい時期もありました。

そしてもう一つ大きかったのが、「必要な写真や資料を探すのに時間がかかる」という点。普段から整理していないと、「あれ、この人の初診の資料どこだっけ?」「これとっておけばよかった!」と探し回る羽目に…。こうしたことから、“日々の整理の大切さ” を痛感しました。

逆に言うと、

  • 初診時の資料をしっかり残す
  • 写真やレントゲンを毎回整理しておく
  • 症例になりそうな患者さんを早めに意識して観察する

これらをいつも通りの診療の中でやっておくと、提出段階での負担がぐっと減ります。

モチベーション維持の秘訣

症例の準備はとても大変ですが、私は、先生や先輩、同僚の衛生士など相談する相手がいたことで、挑戦する気持ちのモチベーションを維持することができました。自分一人で頑張りすぎないで、まわりに助けてもらうこと、協力してもらうことで、大変な時期を乗り越えることができたと思います。

資格を取ったあとに直面した「更新」という壁

たくさんの時間や気持ちを注いで、やっと手にした資格。ですが、実は「取って終わり」ではなく、そのあとにも続いていくステップがあります。それが認定資格の更新です。

認定歯科衛生士は、数年ごとに更新が必要になります。そして、更新するにも条件があります。私が取得した臨床歯周病学会認定歯科衛生士の場合は、年間で50単位の取得が必須。資格を取ったあとにやってきたのが、この更新の壁でした。

タイト
臨床歯周病学会認定歯科衛生士更新の基準
  • 5年で50単位以上を取得すること
  • 年次大会1回以上の参加を必要とする
    ※1回出席あたりの単位、出席したことを証明する参加証等のコピーが必要。

臨床で働いていた頃は、学校での講義や指導、年1回の学会参加などで、自然と単位が取れていました。しかし、結婚・出産で臨床から離れたあとは状況が一変。現実的なハードルがたくさん立ちはだかり、思っていたより単位取得が難しくなりました。

学会は遠方の時もあり、 子育て中は簡単には行けなくなりましたし、研修会も1日家を開けることが難しくて参加できなかったり、特に授乳中はそもそも長時間子どもと離れているのが無理だったり。子育てをしながら単位を取りにいくのは、私にとってはなかなか大変なことでした。

そこで私が実践した「単位を無理なく貯める工夫」が以下の2つです。

単位を無理なく貯める工夫
  • 単位が多めの学会・勉強会を選んで参加する!

  • オンデマンド配信をフル活用!

なるべく単位数が多いものを選ぶことで、参加回数を減らしながら効率よく単位を取得できました。オンデマンド配信は、家にいながら受講できるので本当に助けられました。

とはいえ、正直なところ「5年もあるし、まだ大丈夫」と思っていた時期もありました。でも、時間が経つのは本当にあっという間。気がつけば、「あれ?単位が足りない…」という事態に。そこで利用したのが、認定歯科衛生士の更新救済措置でした。

救済措置とは
  • 勤務先が変わったため認定資格更新ができなかった
  • 結婚、出産などで資格更新に必要な単位が取得できなかった

など、やむを得ない事情で認定資格の更新ができる制度です。

いわば、「やむを得ず単位が取れなかった人のためのサポート制度」です。審議委員会に申請書を提出し、審査のうえで救済措置を受けられます。

私の場合は妊娠、出産、引っ越しが重なり、さらにコロナ禍に幼稚園に子供を預けることができなかったという旨を申請したところ、救済措置を受けられることになりました。

全ての認定資格にこの救済措置があるとは限りませんが、せっかく努力して取得した資格。「維持できるかな…」「もしかして資格を失うかも…」と不安になる気持ちを、私自身も経験しました。だからこそ今は、同じ立場の歯科衛生士さんに「大丈夫、ちゃんと方法はあるよ!」と伝えたい!

更新に向けて、無理のないペースで単位を積み重ねていけば大丈夫です。そして、更新時期に「足りないかも!」と慌てないように、早めに単位の状況を把握しておくこと、「どうやったら維持できるか」を事前に考えておくことが大切です。

認定歯科衛生士になるメリットと、意識の変化

認定資格は「肩書きが増えるだけ」ではありません。資格取得までの準備や学び、積み重ねを通して得られた自信は、その後の臨床やキャリアの選択、新しい挑戦でも支えになってくれます。

専門性が向上する

認定資格を目指す過程では、単に知識を増やすだけでなく、治療全体の流れを俯瞰して捉える力や、患者さんの小さな変化を見逃さずに察知する視点が養われていきます。また、なぜこの処置を行うのか、どこに注意が必要なのかを科学的根拠に基づいて考える習慣が身につくことで、歯科医師とのコミュニケーションの質や連携の精度も自然と高まっていきました。

こうした積み重ねによって、「何となくやっている処置」から「自分の判断に理由を持って行う臨床」へと意識が変わり、一つひとつの処置に対する納得感や、自信につながっていきました。これは、認定資格を目指した大きなメリットだったと感じています。

患者さん・医院からの信頼度アップ

認定資格を取得したからといって、急に評価が変わるわけではありません。でも、学び続けている姿勢や、治療に向き合う時間が増えることで、臨床の質は確実に変わっていきます。

その変化は、まず患者さんに伝わり、そして先生やスタッフにも伝わっていきました。「あなたにまた診てもらいたい」と言われることが増え、重症の患者さんを任されるようになり、医院の中で担う役割も少しずつ広がっていきました。また、認定資格を持っていることで、院内外から声をかけていただく機会もありました。

学び続けることで感じる自己成長の実感

認定資格には更新もあるため、取得後も学びは続いていきます。その継続的な学びは、義務というよりも、「成長し続ける自分でいられている」という感覚を与えてくれます。

学会に参加することで、最新の歯周治療の知識に触れられるだけでなく、他の歯科衛生士や歯科医師、教育に携わる方など、さまざまな専門職の視点に出会えるようになります。その中で、今まで気づかなかった、教育や後輩育成、チーム医療といった分野にも、さらに興味が広がっていきました。

こうした学びの積み重ねによって、少しずつ、「言われたことをこなす」から、自分で考え、選び、責任を持つ専門職へと、意識が変わっていったと感じています。学び続けることは大変な面もあります。でもその分、歯科衛生士としての軸が育ち、臨床に立つ自分への信頼感や自信も、確実に深まっていきます。

働き方や関わり方の幅が広がる

働き方が急に大きく変わる、というわけではなく、「自分はどう歯科医療に関わりたいのか」を考える視点が増えた、という変化です。

臨床を軸にしながらも、勉強会で話す機会をいただいたり、新人教育や院内研修を任されたりと、これまで意識していなかった役割にも少しずつ関わるようになっていきました。複数の医院に関わる働き方や、専門性を高める先生のサポート、学会発表や執筆といったことも「遠い世界」ではなく、現実的な選択肢のひとつとして考えられるようになったと感じています。

もちろん、こうした変化は、認定資格を取ったから突然起きたものではありません。これまでも任されてきた役割はありましたし、日々の臨床を大切にしてきた姿勢が、急に変わったわけでもありません。ただ、認定を取得したことで、周囲からの見え方が少し変わり、その分、自分の言葉や判断に対する責任を以前より強く意識するようになった、という感覚がありました。

認定資格は、働き方そのものを決めてくれるものではありません。そして、すべての人が同じ道を選ぶ必要もないと思います。それでも、私自身の経験を通して感じているのは、専門性を軸に「自分はどう関わりたいのか」を選べる状態へと、少しずつ変化していった、ということでした。その変化は、何かが一気に変わるようなものではありません。振り返ったときに、「確かに違ってきている」と気づくような、静かな変化です。ゆっくりと、少しずつ、でも確実に、臨床や、日々の選択の中に表れてくるもの。そう感じています。

まとめ

認定歯科衛生士は「取得までの努力」と「維持していく工夫」の両方を通じて、自分を大きく成長させてくれる資格です。私自身、子育て中も資格を維持できたことが、「また歯科衛生士として戻ろう」と思えた大きなきっかけになりました。もし今「挑戦しようかな」と迷っている方がいたら、未来の自分のために、まずは受験資格の確認から始めてみましょう。

「自分の可能性をもっと広げたい」「今の働き方に新しい選択肢を持ちたい」――そんな気持ちが少しでもあるなら、認定歯科衛生士への挑戦は未来を明るくしてくれるはずです。

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