30代で歯科助手から歯科衛生士になった私の体験談

歯科助手の仕事に不満はない。
でも、歯科衛生士ではない自分にモヤモヤする。

そんなこと、ありませんか?

「毎日忙しくてやりがいもある。正直、歯科助手のほうが気楽だし、今から勉強しなおすのも勇気がいる。別に歯科衛生士にならなくても生活はできるし…」

「別に、このままでいいや」という理由はたくさんありますよね。

でも、歯科助手として働いているうち、私はふとした時に違和感を感じるようにもなっていきました。

「ほんとにこのままでいいのかな…もっと、できることがあるんじゃない?」

そんなモヤモヤを抱える日々から、あるきっかけで、歯科衛生士を目指すことを決意!歯科助手としての「もどかしさ」が、私の人生を大きく動かすことになりました。

この記事では、歯科助手を7年経験したあとに歯科衛生士学校へ通うことを決めた私の経験をもとに、

・歯科衛生士を目指す前に不安だったこと
・実際にかかった学費は?
・歯科衛生士になって変わったこと

などをお伝えします!

収入面の変化についても書いていますので、歯科衛生士になろうか悩んでいる人の参考になれば嬉しいです。

SHIORI
D.HIT編集部 SHIORI
歯科助手を7年経験し、31歳で歯科衛生士へ転向。
家族との生活を考えて、臨床だけに捉われない働き方をしたいと思い、D.HITに出会う。現在は一般診療で働きながら記事の執筆と採用支援を行っている。

私が7年間、歯科助手としてやってきたこと

まず、歯科助手として働いた7年間での私の経験についてお話しします。

興味本位のアルバイトからスタート

私が歯科助手を始めたのは、専門学校卒業後のフリーター時代のことです。

専門学校と言っても歯科衛生士学校ではなく、ブライダルの専門学校でした。入学して学んでいくうちに「なんか違う…」と思い始め、就活をしても身が入らず、「私は本当にブライダル業界に行きたいのか?」と悩みながら、結局は就職せずに卒業してフリーターになりました。

そんな中、興味本位で始めたのが歯科助手のアルバイト。求人情報を眺めていて、たまたま見つけた仕事でした。

幼少期からむし歯があり、しょっちゅう歯科へ通っていた私。先生が持っている器具がとにかく怖くて、ブルブル震えていたのを今でも覚えています。子どもの頃は何をされているのかわからずただただ怖かったので、「働く側から歯科業界を見てみたい!」という好奇心が湧きました。

最初に勤めたのは、ユニット3台、ドクター2人、歯科助手2人のこじんまりとしたクリニック。初心者の私には、器具の名前も用途も全くわかりません。「RCTって何?RCFって何?C処?」とにかく初耳ばかりで、不思議な世界だな、と思っていました。

私の主な仕事は、診療補助です。バキュームを持つ、器具の受け渡し、アルジネート練和、石膏注ぎ、滅菌…とても目まぐるしい毎日でした。最初は分からないことだらけだったのが、1か月2ヵ月3か月…とやっていくうちにどんどん出来ることが増え、だんだん効率よく動けるようになり、仕事のスピードも上がっていきました。「今日もやり切った!」と気持ちが満たされ、毎日とても楽しかったです。

先生が要求する前に器具を差し出すと「おっ!」という反応をしてくれるので、そこに1番やりがいを感じていました。「よし!もっとやってやる!」と歯科業界にのめり込んでいきました。

その後引っ越しのために転職。でも、転職先も歯科医院にする!と決めていました。今までいろんなアルバイトをしてきた中で、歯科助手ほど前向きに取り組めた仕事はなかったからです。次の行動を先回りして自主的に動くというのが、他の仕事ではあまりなかったので、「歯科助手の仕事は面白い!」と感じていました。

TCの経験で世界がひろがった!

次のクリニックでは、常勤で歯科助手+TCとして働きました。

そこでは歯科助手がTCも兼任する形だったのですが、初めてなので何も分からず…言われた通りにやってみても自費契約には全く繋がらず、やりがいも感じられませんでした。

TCをやる目的も分からず、結果も出ず・・・もっとTCについて学びたい!と思い、セミナーに参加することにしました。

元々その医院では「歯科医院地域一番実践会」という歯科に特化したセミナーを受講していたので、その中のスーパーTC育成塾、スーパーTCアドバンスに参加しました。これが、すごく良かったんです。TCのあり方、心構え、患者さんへの伝え方など、「そういうことだったのか!!」と目からウロコでした。そしてセミナー通りに実践してみると、以前と同じ補綴物を勧めていても、自費の契約率が半分以上を占めるようになりました。

やはり、結果が数字で出るとやる気が出ます。ちょっとした言い回しを変えるだけで契約率が大きく変わり、今までは患者さんと話をするのが億劫でしたが、受講後は自信を持って患者さんと接することができました。

「歯科助手って、アシスタントや受付だけではないんだ!」と初めて知れたことで、患者さんと医院の橋渡しのようなTCの役割に、自分の存在意義を感じていました。

歯科助手7年目で直面した限界と歯科衛生士を目指したきっかけ

歯科助手の仕事にやりがいを感じていたものの、経験を積んで歯科の知識が増えてくるにつれ、歯科衛生士でないことにもどかしさを感じるようにもなっていきました。

なぜなら歯科助手は、「直接患者さんの口腔内には触ることができない」からです。

最もそれを感じた出来事は、ある矯正日の診療中。その日はいつもより忙しく、先生も歯科衛生士さんたちもバタバタしていました。矯正待ちの患者さんがいたのですが、先生はすでにユニットで他の患者さんを何人も待たせていて手一杯。まだまだ時間がかかりそうです。歯科衛生士さんもみんなクリーニング中で手が離せない状況。手が空いているのは私だけ…でも歯科助手は、クリーニングはできません。私にできることは、先生や歯科衛生士さんがスムーズに動けるように準備や片付けをこなしたり、患者さんに声をかけたりすることだけでした。

「国家資格さえあれば私もできるのに…何も出来ないのが悔しい」

その時、そう強く思いました。

そして、歯科衛生士を目指そうと思ったもう一つの理由が、給与面の違いです。その医院では歯科衛生士と歯科助手では基本給が5万円違いました。

雑用や事務作業など仕事量は歯科助手のほうが多く、2~3年勤務しているのに、国家資格があるだけで、新卒の歯科衛生士のほうが給料が良いことに愕然としました。

唯一の救いは、補綴コンサルをして自費の物を入れることになった際に、補綴物の金額の5~10%がボーナスとして振り込まれていたこと。とはいえ、それも1件当たり数千円程度の手当なので、ボーナスの額もそんなに多くはありませんでした。

受付、片付け、雑用しかできない自分。もっと歯科に深く携わりたい!

そう思うようになり、そこから私は「1年後に、仕事を辞めて地元へ戻り、歯科衛生士を目指そう」と決意しました。

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歯科助手と歯科衛生士の違い【業務・責任・やりがい】

ここで、私が両方経験してみて感じた、歯科助手と歯科衛生士の違いについてまとめてみます!

どちらも「歯科医師の指示のもと」、には変わりありませんが、歯科衛生士は患者さんの口腔内に触れる分、より主体性が求められます。自分の施術によって患者さんの口腔状態が変わるので、責任の重さがかなり違うと感じます。

歯科衛生士を目指す前に不安だったこと

「歯科衛生士になろう!」と決めたら、まずは歯科衛生士専門学校の資料請求から始めました。

通える学校はある?

私は10年前にパニック障害を患い、そこから満員電車に乗ることができません。そのため都心部の夜間の学校は通えないので、東京郊外の実家の周辺で探すと、通えそうな学校が2つありました。

選択肢が2つあった中での決め手は、学校見学とオンラインでの個別相談での対応の違いでした。

一方の学校は、学校見学での校長先生の威圧的な態度が直感的に合わないと感じたこと、そしてオンラインの個別相談で、事務の方に分からないことを質問しているとだんだん面倒くさそうな態度を取られたことで、選択肢から外しました。

通うことを決めた学校は、学校見学でも温和な雰囲気があり、オンライン相談での対応も誠実でした。行きたい学校が決まったら、受験に向けて準備を始めていきました。

学費はいくら必要?

私が通っていた学校は東京郊外にあり、昼間部のみ。学費は3年間で300万円ほどでした。他の学校に比べたら少し安価だったと記憶していますが、やはり300万…と考えると、ちょっと躊躇してしまいますよね。歯科衛生士を目指すにあたって、この費用面の問題がやはり1番心配でした。

ただ私の場合、そのうち自分で負担した額は総額165万円ほどですみました!

まず、歯科助手時代に雇用保険に加入していたので、ハローワークにて失業給付を受けることができました。加えて、教育訓練支援給付金という補助も受けることができました!

教育訓練支援給付金とは
失業中の人が受講する間の生活費を支援する給付金。昼間通学制の専門実践教育訓練を受講しているなど、一定の要件を満たした方が失業状態にある場合に、訓練受講をさらに支援するため、雇用保険の基本手当の日額の60%に相当する額をハローワークから支給する制度です。
 
→教育訓練給付金とは(厚生労働省)

※「教育訓練給付金」と「教育訓練支援給付金」があり、私が受けたのは「教育訓練支援給付金」です。

私の場合、実家から通うことを選択したので生活費の心配をせずにすみ、これを学費に充てることができました。失業給付と教育訓練支援給付金をすべて学費に充てた残りが、165万円ほどでした。

在学中も歯科助手のアルバイトで月5万円ほどは稼いでいましたが、それだけではとても賄えなかったので、特に教育訓練支援給付金は学費の支払いにとても助かりました。

雇用保険に一定期間加入していてこれから歯科衛生士になろうと検討している方は、こういったハローワークの補助が受けられるので、一度相談してみてください。「歯科衛生士になりたいけど家族がいるので学費や生活費のことが不安」という方も、費用面でのハードルがグッと下がり、挑戦しやすくなります!

※失業手当は雇用保険に12ヶ月以上加入していないと貰えないので、退職する前に加入期間を確認しましょう!

年齢差は大丈夫?勉強についていける?

勉強や年齢の不安に関してはもちろんありました。特に年齢。私が歯科衛生士学校に入学したのは、28歳の時でした。まわりの学生は、高校卒業してすぐの子が9割を占めていたので、10歳の差があることになります!内心、「どうしよう、馴染めるかな、話が合うかな…」と、とても不安でした。

いざ入学してみると、同じ高校から進学してきた子も多くすでにグループができているところもありましたが、席が近い子が話しかけてくれたので、心配していた不安はそこまで感じませんでした。

本格的に学校に通うこと自体が8年振りでしたし、「専門分野の勉強は難しそうだな、ついていけるかな…」と思っていましたが、そこに関しては授業中居眠りをしない、一番前の席で集中することを心がけ、分からないことはYouTubeの解説動画なども利用しながら、しっかり真面目に取り組むことでついていくことができました!

歯科衛生士になって変わったこと

無事に国家資格を取得後、一般診療へ入職しました。歯科助手から歯科衛生士になって良かった!と私が感じていることをお伝えします!

業務の幅が広がった!

私が初めて患者さんの口腔内を触ったのは、左上が痛いという主訴の初診の方でした。先生の診断により歯肉炎から来る炎症だったので、早速SCを任されることに。最初は超音波スケーラーの使い方もおぼつかず、恐る恐る施術をしたことを覚えています。先生に近くで見てもらいながら操作をしましたが、歯肉溝に超音波スケーラーの先端を入れることで痛みが出ないか、不安でした。

最後までなんとかやり切り、痛みも感じさせずに終えることができました!患者さんに不快な思いをさせずに終えることができて、ホッとしました。

歯科助手時代には出来なかったSCを任され、「やっと口腔内を触ることが出来た!」と嬉しく思いました。

その後、徐々に私の枠にSCの患者さんが入っていき、自分の担当の患者さんで埋まっているアポイントを見ると、「本当に歯科衛生士になったんだ!」と改めて実感しました。

一番嬉しかったのは、SC後に患者さんから「気持ち良かったです」と伝えてくださり、次回のSCでも私を指名してくださった時でした。

収入5万円アップ!

収入面については、歯科助手時代と比べると基本給が5万円アップしました。

やはり目に見えて給与に反映されると、「国家資格を取得して良かった」と実感します。歯科衛生士手当や、自費メニューを勧めて施術を行った場合のインセンティブも毎月入るようになり、やる気UPにも繋がっています!

キャリアの選択肢が増えた!

就職活動では、ジョブメドレーに登録していましたが、毎日大量のスカウトメールが届くので、歯科衛生士の需要の高さを実感しました。どの医院も歯科衛生士を欲しているので、その中から自分の条件に合う医院を選ぶことができました。

そして何より、D.HITに出会えたことが大きいです。「臨床で働くだけが歯科衛生士の仕事だ」と思っていましたが、その考えは見事に覆りました。

実は職場の人間関係から、転職か、歯科衛生士自体を辞めようかと一時は本気で悩んでいたのですが…D.HITに出会い、現場以外でも歯科衛生士の資格を活かして活躍出来ることを学べたので、臨床だけにこだわることがなくなったんです。

「せっかく苦労して取得した資格を手離すのはもったいない」と感じていたので、臨床はパートへ移行して勤務時間を減らし、空いた時間をフリーランスとして活動しよう!と決めました。

勤めている歯科医院の人間関係がうまくいかないから歯科衛生士を辞めようかなんて、すごく極端な考えだったなぁと今では思います。いろんな選択肢を持つことの大切さを、私はD.HITのキャリココで学びました。

これから歯科衛生士になろうと考えている人も、もし現場でうまくいかないことがあったとしても、選択肢は他にもたくさんある、ということをぜひ覚えておいてほしいと思います!

歯科助手から歯科衛生士を目指す人へ

長々とお話しましたが、結局は、やると決める!決めたら動く!これに尽きると思います。

私の周りの歯科助手の方も、かつての私と同じように歯科衛生士になろうか迷っている方、何人もいます。「子どもがいるから…お金がないから…」と皆さん仰います。

今の状況から考えて「出来ない」と決めつけて動かないのではなく、自分の「やりたい、こうなりたい」という気持ちから、「じゃあどうしたら出来るようになるか」という事に焦点を当てると、意外とあっさり解決の糸口が見つかったりします。

子どもがいても資格取得の為に学校へ通っている方もいますし、お金のことならハローワークで教育訓練支援給付金の相談も出来ます。私のようにまわりを頼ってみるのも良いと思います。

自分の内から来る気持ちに素直になって、是非一歩踏み出してください。歯科衛生士は予防のプロフェッショナル。素晴らしい仕事です。この記事が少しでも皆さんの心に響いてくれたら嬉しいです。

SHIORI
D.HIT編集部 SHIORI
歯科助手を7年経験し、31歳で歯科衛生士へ転向。
家族との生活を考えて、臨床だけに捉われない働き方をしたいと思い、D.HITに出会う。現在は一般診療で働きながら記事の執筆と採用支援を行っている。