「歯科衛生士になりたいけど、この年齢からじゃ遅いかな…」
「子育てしながら学校に通うなんて、時間もお金もないし無理だよね…」
「歯科助手の仕事も悪くないし、今さら国家資格を取るなんて…」
そんな理由で、今さら歯科衛生士を目指すのは遅いと感じ、一歩踏み出せずにいませんか?
歯科助手として現場で働いたことがある人は特に、「今から国家資格を取りに行く必要があるのかな」と悩む傾向があると思います。
実際には、社会人から歯科衛生士を目指す人はたくさんいます!!社会人だから遅いなんてことはないんです。そしてその中でも、歯科助手の経験がある人は圧倒的に有利なんです。
この記事では、歯科助手経験が「最強の武器」になる理由と、社会人から歯科衛生士を目指すリアルについて、歯科助手から歯科衛生士になった私の実体験を踏まえてお話します。
歯科助手の経験は、歯科衛生士になるための最強の武器になる!
まず、私が実際に歯科助手から歯科衛生士になって感じた、「歯科助手の経験があることのメリット」を3つ、お伝えします。
現場経験があるから、即戦力として評価される!
私が一番「歯科助手を経験していて良かった!」と思ったのは、歯科衛生士として就職した時でした。
私が歯科衛生士になって最初に入職したのは、ユニット20台、1日の患者数100人越え、スタッフ約30名の超大型医院。教育プログラムがしっかりと組まれており、まずはアシスタント業務から始まりました。「今日は1日◯◯先生のアシストについてね」と指示され、半年間はひたすらアシスタント業務の日々。
つまり、始めは全く歯科衛生士の仕事をさせてもらえないんです。
ですが7年の歯科助手経験から、正直、アシスタント業務には慣れていて自信があった私。何も恐れや不安はなく、「今まで通りのことをすればいいのね」と、すんなりと受け入れることができました。
実際に治療のアシストをした際、先生から「バキュームで吸引するの上手いね!」と褒めていただいた時はとても嬉しかったですし、「歯科助手をやっていて良かった!」と思えた瞬間でした。
これがもし、全くの歯科助手未経験での入職だったら…
いくら先輩が付きっきりで指導してくれたとしても、最初はなかなかうまく動くことはできません。「歯科衛生士として入ったのに、まずは歯科助手の仕事から覚えないといけないんだ…でも、やったことがないからどう動けばよいか分からない…」という不安に駆られて、頭がパンクしていたと思います。
助手としての現場経験があることで、教育に時間と手間がとられず、医院にとってもプラスになります。即戦力として評価してもらえることで、自信にもつながりました!
すでに知識があるから、実習や試験が楽!
少し遡って、歯科衛生士専門学校時代にも歯科助手経験はとても役立ちました。
2年生の秋ごろから1年間の臨床実習があり、2か月ごとに異なる実習先に配属されるのですが、主な実習内容は治療の見学かアシスタント業務でした。
最初に配属された実習先の医院では、私が歯科助手経験者だとわかると、早速いろんなことをやらせてもらえました。アルジネート練和、対合印象、石膏注ぎ…全部、今まで仕事として毎日やってきたこと。歯科助手の経験があるだけで、臨床実習はなんて楽な学びなんでしょう!「これだけでいいなら実習なんて簡単じゃん♪」と余裕を持って取り組むことができ、全く緊張もせず、実習を終えました。
その後、他の実習先に行っても、新しいことを覚える必要はほとんどなく、まるで無給のアルバイトをしているような感覚。実習での学びは「歯科医院によってやり方が全然違うんだなぁ」ということくらいでした。
実習だけではなく、普段の授業でも「歯科助手をやっていて良かった!」と思えることはたくさんありました。歯科衛生士には保健指導、予防処置、診療補助の三大業務がありますが、その中でも診療補助は歯科助手の仕事で行っていることそのもの。
診療補助の授業で教わる内容は、
- 矯正器具や外科器具の名称を覚える
- アルジネート練和、印象を採る練習、石膏を注ぐ、トリミングをする
- セメントの練和
など、ほとんどが毎日仕事で行っていることだったので、復習をしている気分でとっても楽でした。
そしてもちろん、定期試験でも歯科助手経験が役立ちました。診療補助の定期試験では、改めて学び直す必要もなく、いつも高得点を取ることができていました。入学前は、歯科助手の経験がこんなところで活かされるなんて思っていなかったので、「歯科助手の経験はこんなに有利なんだ!」と実感した瞬間でした。
器具・材料の知識があるから、成長が圧倒的に早い!
3つめは、歯科衛生士になって初めて使う器具や材料の知識がすでにあったから、歯科衛生士としても早く成長できたこと。
器具の基本セットを現場で使いこなすには、まずはそれぞれの器具の名称と用途を覚え、どんな時に何を使うかしっかりと把握する必要があります。歯科助手が使うことはありませんが、先生のアシストにつき、その使い方を近くで散々見てきたので、歯科衛生士になって自分が実際に使う際も、なんのためらいもなく扱うことができました。
ここでも歯科助手経験が活きて、歯科衛生士としてのはじめの一歩がとても楽だったんです。
器具や材料の名称と用途をすでに熟知しているので、就職してからも基礎的なことは飛ばして、すぐに歯科衛生士に特化した知識の習得に集中することができました。
プロービング時のiPadの入力方法、TBIのやりかた、エアフローの取り扱い方、患者説明、小児のリコールなど…歯科衛生士だからこそ覚えなければならないことにいち早く着手できたので、未経験者より圧倒的に成長が早かったと思います。
歯科助手は、アシスタントのプロ。先生が次に何をするのか、どの器具を欲しがっているのかを常に予測しながら、仕事をしますよね。この技術は、短期間で習得できるものではありません。助手経験で培ったこのスキルを活かして、歯科衛生士になってからも、治療の動きを見ながらスムーズにアシストをすることで、先生からの信頼を得ることができます。
また、歯科助手時代には受付も経験し、受付の大変さも知っているので、患者さんが来院したときにはすぐに自分でカルテを取りに行き、受付が動かなくていい状態を意識しています。医院全体の動きを把握して、自分が今一番すべきことは何か?を考えながら行動することは、歯科衛生士にも必要なこと。歯科助手を経験してきたことで、それが自然とできる力がついたと思っています!
社会人から歯科衛生士を目指すリアル
- 「歯科衛生士を目指すための条件ってあるの?」
- 「昼間部と夜間部、私はどっちが合ってる?」
- 「学校って何年通えばいいの?」
- 「お金はどうすればいい?」
- 「勉強と私生活は両立できる?」
そんな具体的な疑問に1つずつ答えていきたいと思います。
歯科衛生士に年齢制限はある?
年齢制限はありません!
私が通っていた学校の先生によると、55歳で入学した方もいたそうです。もちろん高校卒業したての子たちが多いことは事実ですが、40歳前後で挑戦する方もたくさんいます。28歳で入学した私はまだまだ若いほうでした。
ちなみに私の同級生には、36歳の子持ちの方がいましたが、成績は学年1位でした。すごいですよね。子育てをしながら学校に通い、勉強と家事・育児を両立させて良い成績をとっていて、年齢や立場は関係ないんだと感じました。
「やりたいと思ったタイミングが一番若い時!」なんです!
昼間部・夜間部、社会人が選ぶべきはどっち?
歯科衛生士専門学校って二部制なのはご存じですか?昼間部・夜間部があり、自分のライフスタイルに合わせて選ぶことができます。学校によっては昼間部のみのところもあるので、まずは自分がどちらに通えばいいか、それぞれの特徴を踏まえて決めましょう。
- 9時~16時30分まで1日授業がある
- 90分4コマ/1日(昼休憩あり)
- 高校卒業後の学生が多く、社会人が比較的少ない
- 教育訓練支援給付金が使える
- 18時〜21時の短時間授業
- 90分2コマ/1日
- 年間の授業日数を確保するため、長期休みが短め
- 昼間部より社会人の割合が多い
- 教育訓練支援給付金は使えない
一番の違いは、授業のコマ数と学ぶ時間帯。厚生労働省の歯科衛生士養成所指定規則により総単位数は同じです。
歯科助手として現場経験を積みながら資格を取りたい、昼間働いて学費を稼ぎたいのであれば、夜間部。
キャンパスライフを楽しみながら、ゆとりを持って学びたいのであれば、昼間部がおすすめです。
※教育訓練支援給付金制度については後ほど詳しくお伝えしますね。
歯科衛生士になるまで何年?最短ルートと現実的なスケジュール
歯科衛生士専門学校は、昼間部・夜間部共に最短3年必要です。
社会人から入学するとなると、卒業時の年齢も考慮してなるべく早く資格を取りたいところですが…どんなに頑張っても最低3年間は通わなければなりません。さきほども言いましたが、やりたいと思った今が1番若い時!いつか始めるなら、今始めましょう!
3年間のスケジュールは学校によって違いますが、参考までに書いておきますね。
- 1年生:週5で座学中心
- 2年生前期:週5 登校(座学&相互実習)
- 2年生後期:週1 登校(座学&相互実習)週4 臨床実習
- 3年生前期:週1 登校(座学&相互実習)週4 臨床実習
- 3年生後期:週5 国家試験対策(成績上位者は任意登校、自宅学習)
- 12〜1月:卒業試験
- 3月:国家試験
歯科衛生士になるには通信教育ではなく必ず専門学校などに通学する必要がありますが、学校によっては、働きながら通う人のためにオンライン授業を導入しているところもあります。
長期休みは、7月の終わりから8月いっぱいは夏休み、クリスマスを過ぎたあたりから1月5~6日までは冬休み、3月後半から入学式前までは春休みがありました。感覚としては、小・中・高校と比べてもそんなに変わらない感じだったと思います。
定期試験は、前期と後期で1回ずつ。
- 化学・生物学
- 解剖・組織学
- 口腔解剖学
- 生理・口腔生理学
- 生化・口腔生化学
- 病理・口腔病理学
- 微生物・口腔微生物学
- 衛生・公衆衛生学
- 歯科衛生統計学
などなど、とにかく専門分野の試験が難しいのですが、どの教科も60点未満は赤点!!定期試験の1週間前から徹夜したこともありました。。。自宅学習は絶対に欠かせません!!
なんといっても一番大変だったのは卒業試験に向けての勉強でした。1~3年生で学んだすべての範囲の中から各教科50問ずつくらい出題されるので、とにかく勉強する範囲が多いんです!
卒業試験は3年生の12~1月あたり。臨床実習が11月に終わったら、すぐに卒業試験に向けての勉強が始まりました。この卒業試験に受からないと国家試験の受験資格がないので、死に物狂いで勉強していた記憶があります。この時期はアルバイトも一度休んで、勉強に専念するのがいいかもしれません。お子さんがいらっしゃる方は冬休みの時期とかぶると、辛い時期かも…。
最短で卒業するにはとにかく留年しないこと、そして卒業試験・国家試験をクリアすることが第一条件。
そのためには、
- まじめに勉強して定期試験で赤点を取らない
- 早くから国家試験の過去問に挑戦して慣れておく
- 卒業試験に命を懸ける
- 国家試験に一発合格する
これに尽きます。常に、最後の卒業試験と国家試験を意識すること。「定期試験が終わったから、勉強した内容は忘れよう!」は一番後悔し、最後に苦労します。毎回ある試験を本気で受けて、試験対策ノートを国家試験まで残しておけば、まとめノートを作る手間が省けるので一石二鳥です!
お金が不安な人へ:歯科衛生士を目指すための学費と支援制度
「それで、学費はいくらなの?」一番気になりますよね。学費は、昼間部・夜間部で差があります。
昼間部:約300~400万円
夜間部:約200~300万円
※学校によって学費は変わるので、大体の目安です。
夜間部のほうが少し安いです。どちらにせよ、やはり数百万はかかってしまうのですが…でも、安心してください。使える給付金が2つあります!
- 授業料の50%(年間上限40万円)が6か月ごとに支給される
- 国家試験に無事合格し、1年以内に就職して雇用保険の被保険者になった場合、受給額が70%にアップし、差額が支給される
- さらに、卒業前に比べて賃金が5%以上上がった場合、受給額が80%にアップし、差額が支給される
- 在学中の生活費を支援する給付金
- 基本手当の日額の60%が支給される
- 失業中であること、初めて専門実践教育訓練を受講すること、45歳未満であることなど要件あり
- 2か月ごとの失業認定を受ける必要あり
私は失業給付と教育訓練支援給付金を学費に充てたので、それ以外で実際に支払った金額は165万円ですみました。
注意点は、夜間部のほうが学費は少し安価なものの、夜間部では教育訓練支援給付金制度は使えないということ。

教育訓練支援給付金は、あくまで失業給付の延長で生活費を支援する制度なため、失業状態にある人が対象なので、働きながら夜間の学校に通う人は対象外になるんです!
仕事や家庭と両立できる?社会人が乗り越えるコツ
社会人にとって一番の悩みといえば、私生活と両立できるか問題ですよね。
とくに子どもがいる人は、なかなか自分の時間が取れず、試験勉強に集中できないこともあると思います。実際私の在学中にも、子どもの体調不良で1週間休んだ人もいました。
子育てしながら通学するなら、やはり周りの協力は不可欠だと思います。
私は子どもがいないのですが、子育て中の方はみなさん、子どもを実家に預ける、パートナーに任せるなど工夫しながら通っていました。実家の力を借りて送迎や看病をお願いしているという方もいましたし、中には、子どもが比較的手の離れる中学生になるまで待ってから入学した…という人もいました。
働きながら学校へ通う場合は、職場の理解も必要です。たとえば夜間部に通うなら、18時から授業があるから17時に上がらせてもらったり、試験前は集中するために休ませてもらったり。
歯科医院で働いているなら、「歯科衛生士になるために夜間の学校へ通いたいので、時短勤務をしたいです」と院長に相談すれば快く調整してくれるはずです。院長だって、歯科助手をしているスタッフが、キャリアアップして歯科衛生士として働いてくれると嬉しいですよね。
もし歯科医院以外で働いているなら、関係性によっては相談するのは難しいという場合もあるかもしれません。それならいっそのこと退職して、歯科医院に就職し、歯科助手を経験しながら3年間学校に通うことをぜひおすすめしたいです!
今からでも遅くない!歯科助手経験は絶対強みになる!
やりたいことをやるのに、「今からじゃ遅い」なんてことは絶対にありません。歯科助手として基礎を身につけたなら、ステップアップして歯科衛生士になることは一生の財産になるはず。何歳から歯科衛生士になったって遅くない!!お金の不安も、年齢の不安も、1つ1つ解決して、今日から前に進んでいきましょう。





