「子育てしながら働きやすい職場に転職したい」
「今のところも嫌いじゃないけど、もっと自分に合った働き方がしたい」
そう思ったとき、多くの方がまず何をするでしょうか。求人サイトを開いて、「時短OK」「子育て中歓迎」の条件で検索するーーつまり、いきなり「理想の職場探し」から始めてしまいがちです。
でも実は、その前にやるべきことがあります。
理想の職場を見つけても、自分の中が整っていなければ、転職先でも同じ悩みを繰り返してしまいます。「前の職場より条件はいいはずなのに、なんかしんどい⋯」という経験をした方も、少なくないのではないでしょうか。
この記事では、子育て中の歯科衛生士が理想の働き方を叶える「仕組みを整える方法」をSTEP順にお伝えします。
完璧な両立を目指すと、苦しくなってしまいます。いきなり転職ではなく、考え方や、そもそもの仕組みを変えることが近道ですよ!
STEP1 まず「今の自分」を整理しよう
理想の働き方を考える前に、まず「今の自分に何が起きているのか」を整理することが最初のステップです。一見遠回りに見えますが、ここを飛ばしてしまうと、後のステップがすべてぼんやりしたまま進んでしまいます。自分の現在地を正確に把握・理解することが、理想の働き方への最短ルートなんです。
①何がつらいのかを書き出す
「しんどい」「余裕がない」「このままじゃダメだ」という感覚はあるのに、具体的に何が問題なのかを言語化できていない方は意外と多いです。
今の自分がつらいと感じていることを、思いつく限り紙に書き出してみてください。
ポイントは「時間がない」「疲れる」という抽象的な言葉で止めないこと。
「何の時間がないのか?」
「何に疲れているのか?」
もう一段深く掘り下げて、具体的に考えてみましょう。
- 子どものお迎えが毎日ギリギリになる
- 帰宅してから夕食・お風呂・寝かしつけがワンオペで休む間もなく、すべて終わるのが22時を過ぎる
- 晩ごはん後、洗い物をする時間も気力もない
- 仕事と子育てに追われ、1人の自由な時間がまったくない
このように具体的にしていくと、「問題は勤務時間そのものではなく、帰宅後のワンオペ状態にある」といった本質が見えてきます。
- メンテナンスの繰り返しで体力的に疲れる
- 先生のご機嫌を伺うことで、精神的に疲れる
- お昼休憩も職場の人と一緒で、ゆっくり休めない
- 誰にも感謝されなくて気持ち的に疲れる
- 仕事のあとに子どもの相手をする気持ちの余裕がない
原因によって、必要な対策はまったく変わってきます。
書き出す内容に、正解も不正解もありません。「こんなこと書いてもいいのかな」と思うようなことも、遠慮なく書いてみてください。職場への不満、夫への不満、自分自身への苛立ち…全部書き出してみることで、本当に解決すべき問題が見えてきます。
②許容できる最低ラインを決める
つらいことを書き出したら、次は「許容できる最低ライン」を決めます。これが、この記事で一番意外に感じるステップかもしれません。
多くの方はまず「理想の働き方」を考えようとします。でも子育て中の今、理想通りになんていかないのが普通です。完璧な理想を追いかけるのでは、余計にしんどくなってしまいます。
それよりも「これさえクリアできれば、なんとか続けられる」というラインを決めるほうが、現実的で動きやすくなります。
たとえばこんな感じです。
- 17時までに必ず上がれること
- 子どもの急な発熱で休んでも嫌な顔をされない職場
- 土曜日と日曜日は絶対に休めること
- 月に一度は自分だけの時間が持てること
理想を並べるのではなく、「これがなければ無理」というラインを決める。「そのラインさえ守られていれば、多少の不満は許容できる」という基準を持つことで、職場選びや交渉の場面でもぶれなくなります。
また、このラインは子どもの年齢や家庭の状況によって変わっていくものです。「今の自分にとっての最低ライン」を定期的に見直す習慣を持つことが、長く働き続けるためのコツでもあります。
STEP1でやることはシンプル。
- 「何がつらいのかを書き出す」
- 「許容できる最低ラインを決める」
この2つだけです。求人を調べるのも、転職を考えるのも、その後でいい。自分の現在地を把握してから動き出すことで、次のステップがぐっと明確になります。
STEP2 「やめること」を決めよう
STEP1で「今の自分に何が起きているのか」が整理できたら、次にやるのは「やめることを決める」です。
「もっと効率よくやろう」「もっとうまく時間を使おう」と、改善することを考えてしまいがちですが…子育て中の歯科衛生士が日々こなしていることの量は、はっきり言って普通じゃありません。
仕事・家事・育児・パートナーとの関係・職場の人間関係…そのすべてを同時に抱えながら、毎日なんとか回している状態じゃないですか?
そこにさらに「もっと頑張る」を積み上げても、いつか必ず限界が来ます。
だからこのSTEP2では「何かを足す」のではなく「何かを手放す」ことに集中します。
①今、自分がやっていることを全部書き出す
仕事関係・家事・育児・送迎…カテゴリーは何でも構いません。
- 子どもの朝のお着替え
- 朝ごはんの準備と片付け
- トイレトレーニングに付き合う
- 掃除機をかける
- 保育園の送迎
- 習い事の送迎
- 晩ごはんの献立を考えて買い物
- 晩ごはんの準備と片付け
- 食器を洗う
- お風呂に入れる
- お風呂後の保湿、着替え、ドライヤー
- 洗濯機のセッティング
- 洗濯物を干す、たたむ、しまう
- 子どもの歯磨き
- 絵本の読み聞かせ
- 寝かしつけ
- 夜中子どもが起きたときの対応
- 次の日の保育園の準備&連絡アプリの確認
家事・育児部門だけでも、1日の中でざっとこれだけの量が出てきました。さらに細分化すると、もっともっとあると思います。
さらに、仕事関係やそれ以外もどんどん書き出していきましょう!
- 主任歯科衛生士としてチームをまとめる
- 後輩指導
- 歯科衛生士のリコール率の集計
- 歯科衛生士チームの売上管理
- 院内の備品、及び窓口販売の在庫管理
- 在庫管理における発注業務
- 歯科衛生士の出勤簿確認
- 1日5人のメインテナンス患者の対応
- トラブル時、患者さんへの電話連絡
クリニック内でも、もっと細かい多くの業務があると思います。
- 夫とのスケジューリング共有
- 保育園や役所への提出書類の記入
- 家計の管理、税金などの支払い
- 休みの日のお出かけ先を検討
- 急な発熱などの対応
- 義理の両親との連絡調整
- 旅行や帰省の予定を立てる
- 職場での急な人員不足によるヘルプ
- 機嫌が悪いときの「ママがいいー!」の対応
- 衣替え・足りない服を買い足す
こういったイレギュラーな任務も、めちゃくちゃ多いですよね…。
とにかく、思いつく限り書き出してみてください!書き出すことで、日々自分がどれだけ大量のタスクをこなしているのかを可視化しましょう。これだけでも、「私、頑張ってるね」って褒めてあげたくなりませんか?
②3つに分類する
次に、書き出したリストを見ながら「これは本当に必要なこと?」「絶対に自分がやらなければならないこと?」と問いかけていきましょう。
以下の3つに分類してみてください。
- 絶対に自分がやらなければならないこと
- 誰かに頼めること・外注できること
- 実はやめても誰も困らないこと
②と③に分類されたものは、今日から手放す候補です!
子育て中の歯科衛生士が働き続けるうえで、実は一番大きな壁になっているのが「自分がやらなきゃ」という思い込みなんです。仕事も育児も家事も、全部自分で完結しようとするから限界が来るんです。その思い込みを手放していきましょう。
一気に全部やめなくていいですし、完璧にやめられなくても構いません。「少し減らす」だけでも、毎日の負担はぐっと変わります。
たとえば、
- 毎日の夕食を手作りすること
- 毎日掃除機をかけること
- 子どものお弁当を毎回手作りすること
これらは「やらなければいけないこと」でしょうか。それとも「やらなければいけないと思い込んでいること」でしょうか。
ミールキット、宅配サービス、スーパーのお惣菜などを使えば、夕食の準備時間は大幅に短縮できます。お弁当もすべて手作りじゃなくて、冷凍食品でもいい。掃除は週末に1回でもいいし、ロボット掃除機に任せるのもあり。
「手を抜くこと」に罪悪感を感じる方も多いと思いますが、その罪悪感こそが「やめること」を邪魔している正体です。
仕事の場面でも同じです。後輩に任せられる業務を、自分がやったほうが早いからと抱え込んでいたり、誰にも頼まれてないのに率先してやりすぎていたりすることはありませんか?「断る」「任せる」勇気も、時には必要です。
「いいママ・いい歯科衛生士でいること」をやめる
これが、このSTEP2で一番お伝えしたいことです。
子育て中の歯科衛生士が知らず知らずのうちに抱えているプレッシャーのひとつが、「いいママでいなければ」「いい歯科衛生士でいなければ」という気持ちです。
- 子どもには毎日手作りのご飯を食べさせたい
- 園や学校の行事には絶対に参加してあげたい
- 子どもに焦らせたり、怒ったりしないであげたい
- 患者さんには丁寧にじっくり向き合いたい
- 後輩の相談にも乗りたい
その気持ち自体はとても大切で、お母さんとしての愛情と、歯科衛生士としての誠実さの表れでもあります。
でも、子育て中の今は「いつもの100%」を出し続けることが難しい時期でもあります。夜中に子どもが起きて睡眠が取れなかった日も、子どもの発熱で心配で頭がいっぱいの日も、「いいママ」「いい歯科衛生士」であろうとして自分を追い込んでしまう…その積み重ねが、じわじわと無意識のうちに体と心を消耗させていきます。
「いいママ・いい歯科衛生士をやめる」というのは「育児も仕事も手抜きする」という意味ではありません。「今の自分にできる範囲で精一杯やる」それで十分だという許可を自分に出すということです。
完璧にやろうとするプレッシャーを手放したとき、不思議と育児も仕事も楽になることがあります。「今日は70%でいい」と思えるだけで、気持ちの余裕が生まれます。その余裕が、患者さんへの対応にも、子どもへの接し方にも、良い影響をもたらします。
長く歯科衛生士として働き続けるためには、「常に全力」ではなく「長く続けられるペース」を見つけることのほうがずっと大切です。子育て中の今は、意識的にペースを落とす時期だと割り切ってしまうことも、ひとつの選択です。
STEP2のテーマは、「頑張りすぎていることをやめる」という発想に切り替えることです。「私がやらなきゃ」という思い込みや、「完璧」を手放していきましょう!
STEP3 「頼れる人・場所・仕組み」を総動員しよう
STEP1で自分の現在地を整理して、STEP2で手放すことを決めました。
STEP3では、いよいよ「外に頼る」ことを本格的に考えていきます。
頼れる人に任せてみる
まず、自分の周りにいる「頼れる人」を全員書き出してみてください。「そんな人いない」と思う方も、一度やってみてください。意外と「頼もうと思えば頼める人」が見えてきます。
夫・パートナー
まず最初に見直したいのが、夫やパートナーとの役割分担です。
「お願いしてもうまくやってくれないし、頼むより自分でやったほうが早い」という声はよく聞きます。でもこの「自分でやったほうが早い」は、長期的に見ると自分を追い詰める思考パターンなんです。
最初はうまくできなくても、任せ続けることで相手も慣れていきます。家事や育児のやり方に強いこだわりがあると任せるのも難しいですが、そのこだわりすら、もしかしたら「思い込み」の1つかもしれません。
「自分と同じように完璧にやってほしい」ではなく「やってもらえればそれでいい」というスタンスで、少しずつ任せる範囲を広げていきましょう。
お米を洗うのだけやってもらう、「ママー!」と呼ばれたときに代わりに対応してもらう、そのくらいの小さなところから始めてみてくださいね。
両親・義両親
頼ることに気が引けて、なかなか声をかけられないという方も多いと思います。でも実は、祖父母は「もっと頼ってほしい」と思っているケースもあります。
- 子どもの急な発熱でお迎えを頼む
- 自分時間確保のために、2〜3時間預かってもらう
- 休日の買い物に付き合ってもらう
両親や義両親が近くに住んでいるなら、遠慮せずに声をかけてみれば、思った以上にサポートしてもらえるかもしれません。
ママ友・職場の同僚
距離や時間的な問題で夫や両親を頼るのが難しければ、同じ子育て中の仲間に頼ることも、立派な選択肢のひとつです。
「今日お迎えに間に合いそうになくて、一緒に連れて帰ってもらえないかな?」
「ごめん、1時間だけ、一緒に見ててほしい!」
そんな声を気軽にかけ合える関係は、子育て中の大きな支えになります。
最初は「迷惑をかけてしまう」と感じるかもしれません。でも助けてもらった分は、自分が余裕のあるときに返せばいいのです。持ちつ持たれつの関係を作ることが、長く働き続けるための大切なネットワークになります。
職場の同僚も同じです。「急なお迎えのときは、患者さんのクリーニングお願いしてもいい?」と事前に話しておくだけで、いざというときの安心感がまったく違います。同じように子育て中のママ歯科衛生士と、助け合っていきましょう。
園や小学校・地域のサポート
園や地域のサポート、フルに活用できているでしょうか。
「預かり保育や学童は子どもがかわいそうだから」
「使わなくてもなんとかなっているから」
と、利用せずに頑張っているママも多いですが、使ってみれば、意外と子どもは喜んで行ってくれることもあります。
地域によっては、子どもの送迎や預かりなどを頼めるファミリーサポートセンターや、小学生なら子どもだけで利用できる子育て支援センターなど、地域ぐるみで子育てをサポートする仕組みが整っているところもあります。
「こんなサービスがあったの?」と後から気づくケースも多いので、一度お住まいの自治体のサービスを調べてみましょう。申し込めば使えるサービスが意外と充実しているので、いざというときのために登録だけでもしておくことをおすすめします。
家事代行・外注サービス
身近な人や地域のサポートだけでなく、有料サービスや家電に頼るという選択肢もあります。
- 家事代行サービス
- ネットスーパー
- 食材宅配・ミールキット
- ロボット掃除機
- 洗濯乾燥機
- 食洗機
「お金がかかるから」と躊躇する方も多いですが、これは「贅沢」ではなく、自分の時間と体力を守るための「投資」だと考えてみてください。
家事代行を週1回使うことで生まれる2〜3時間を、自分の休息や子どもとの時間に充てられて、ストレスが減って精神的にも余裕が生まれたら…
その費用の価値は十分にあると思いませんか?
すべてを外注する必要はなく、「ここだけはお金で解決しよう」というポイントをひとつ決めるだけでも、毎日の負担は大きく変わります。
- 夜ごはんのお皿洗いをやめました。今は食洗機に毎晩洗ってもらっています。
- 掃除機を毎日かけるのをやめました。今は3日に1回くらいしか掃除機をかけていません。
- 小児科の病院受診は、主人が行けるときは主人にお願いすることにしました。
- 主人が出張のときは、「たまにはいいよね?」とカップラーメンにしています。子どもたちはとっても喜んでいます!
職場の院長・スタッフに隠さない
子育て中であることを職場に隠して、無理をしている方は、意外と多いです。
子どもがいることは伝えていても、
「みんなまだやってるし、帰るって言いにくいな⋯」
「また?って言われるの嫌だな⋯」
という気持ちから、子どもの体調不良でも言い出しにくかったり、お迎えの時間が迫っていても言えなかったり。
でも、そうやって無理をし続けると、いつか必ず限界が来ます。そして「急に辞める」という形になってしまうこともあるでしょう。それは職場にとっても、自分にとっても、一番困る結末です。
だからこそ「先に話す」ことがとても重要です。入職時や、状況が変わったタイミングで、
「子どもがいるので、急なお迎えが必要になることがあります」
「〇時までには上がらせてもらえると助かります」
とあらかじめ伝えておくことで、いざというときに動きやすくなりますし、職場側も対応を考えておくことができます。
伝えるときのポイントは、「お願い」ではなく「情報共有」のスタンスで話すことです。「迷惑をおかけしますが⋯」と申し訳なさそうに言うより、「こういう状況なので、こういうサポートがあると助かります」と具体的に伝えるほうが、院長先生も動きやすいんです。
子育て中であることは、隠すべきことでも恥ずかしいことでもありません。それを理解してくれる職場こそ、長く働き続けられる環境です。
STEP3のテーマは、使えるものは全部使って、自分の負担を減らすということです。頼れる人・ものをすべて総動員しましょう。
歯科健診の現場で多くのお母さんたちと接していると、ひとりで抱え込んで限界まで頑張っているママがとても多いことに気づきます。
「誰かに頼ったら申し訳ない」
「自分がやらなきゃ」
そう思って、助けを求めることができないまま疲弊してしまっている。そんな姿を見るたびに、もっと早く誰かに頼ってほしかったと感じます。
頼ることは弱さではありません。頼れる仕組みを作り、選択肢を持っておくことは、子育て中の歯科衛生士が長く働き続けるための、一番大切な戦略です。
STEP4 自分に合った「働き方の条件」を整えよう
STEP1で現在地を整理して、STEP2で手放すことを決めて、STEP3で頼れる仕組みを作った。ここまで来てようやく、「どんな職場で・どんなふうに働くか」を考えるSTEP4です。
①職場に求めることを書き出す
自分が職場に求める条件は何か、書き出してみましょう。
最初にお伝えしたように、多くの方がここから始めてしまい、職場選びに失敗し、同じ悩みを繰り返してしまいます。
でもSTEP1〜3を経た今のあなたは、見えているものが違うはずです。「なんとなく」ではなく「自分に本当に必要な条件がわかっている状態」で職場を選べるようになっています。それが、このSTEPを最後に持ってきた理由です。
- 週3程度で働きたい
- 土日は休み
- 子の習い事のため◯曜日は休みたい
- 16時には上がれる
- 給与・時給が高い
- 人間関係や雰囲気が良い
- 家から近く通勤時間がかからない
- 経験を活かせる・やりがいがある
- 育児への理解があり嫌な顔をされない
②求める条件の優先順位を決める
STEP1で決めた「許容できる最低ライン」を覚えているでしょうか。それを、もう一度見返してみてください。ここまでのSTEPで、基準が変わっていることもあるかもしれません。
自分に合った職場を探すとき、「給与が良くて・時間も融通が効いて・人間関係も良くて・やりがいもあって⋯」と、すべての条件を求めてしまいがちです。でも正直、すべてが揃った完璧な職場は、ほぼ存在しません。
自分の最低ラインを基準に、職場に求める条件の優先順位を決めましょう。
STEP1で決めた最低ラインを「絶対に譲れないもの」として、照らし合わせてみてください。そのうえで「できれば欲しいもの」を2〜3つ、「なくても構わないもの」に分けていくと、職場選びの判断軸がはっきりします。
たとえば「絶対に譲れないのは、家から近いことと、育児に理解があること。給与は多少下がっても構わない」と決めておけば、「この医院は時給は高いけど、休みは取りにくそう」「ここは給与は低めだけど、子育て中のスタッフが多いから理解がありそう」というふうに、求人を見るときに比較して判断ができるようになります。
面接でも、最低ラインが明確だと、確認するポイントを絞って動きやすくなります。「育児への理解があるかどうか」を確認するために、「子どもが急に体調を崩した場合はどのように対応されていますか?」と具体的に質問できるようになります。
優先順位が決まっていれば、職場選びで後悔する確率がぐっと下がるんです。
優先順位は「子どもの年齢」に合わせて変えていい
子育て中の働き方を考えるうえで押さえておきたいのが「子どもの年齢によって必要なサポートは違う」という視点です。
子どもが小さいうちは「勤務時間の融通」が最優先だったのが、子どもが大きくなるにつれて「給与アップ」や「やりがい」が上位に来るようになる。そのタイミングで働き方を見直すことが、長期的に満足のいくキャリアを築いていくコツです。
優先順位は、定期的に見直すことが大切です。
とにかく子どもの体調変化が多く、急なお休みやお迎えが発生しやすい時期です。保育園に入ったとたん毎月のように熱を出す、なんてことも珍しくありません。幼稚園だとイベントも多いですよね。
この時期に最も必要な条件は「休みやすく、急な欠勤にも理解がある職場」。給与や勤務時間よりも、この条件がを優先して職場を選びましょう。
授乳中などは、保育園に預けることに罪悪感を感じやすい時期でもあります。「今は働く時間を最小限にして、子どもとの時間を優先する」という選択も、まったく間違っていません。週2〜3日のパート勤務や、午前中だけの時短勤務にするのも、立派な選択肢のひとつです。
小学校へ上がり、環境が大きく変わる時期です。特に入学直後は「小1の壁」と呼ばれ、保育園より預かり時間が短くなり、仕事との両立が難しくなるケースが多いです。宿題のサポートや、精神的なケアなど、親の関わりが必要な場面も増えます。
この時期に必要な条件は「子どもの帰宅時間に間に合うこと」。
残業なしで決まった時間に上がれて、曜日や時間の融通が効く職場を選ぶことが、子育てとの両立をぐっと楽にしてくれます。
子どもがある程度自立してきて、ひとりで留守番もできたり、習い事も自分で行ったりするようになるので、「もう少し働けるかも」と感じ始める人が多い時期です。
この時期は「勤務時間を増やす」「パートから常勤にシフトする」「副業を始めてみる」など、収入アップやキャリアアップに向けて動きやすくなります。
ただし中学生になると、塾の送迎が始まる場合もあり、「子どもの状況に合わせて柔軟に」という視点は引き続き大切です。
このように、子どもの年齢によって必要な働き方の条件はどんどん変わっていきます。「今の条件が合わなくなってきた」と感じたら、職場に相談するか、転職を検討するタイミングかもしれません。働き方は一度決めたら終わりではなく、子どもの成長に合わせて定期的に見直していくものです。
STEP4では「職場に求めることの優先順位を決める」ということと、「子どもの年齢に合わせて勤務条件を変えていい」という視点をお伝えしました。
STEP1〜3で自分の内側を整えてきたからこそ、ここで初めて「自分に本当に合った働き方」が見えてきます。完璧な職場を探すのではなく、今の自分に必要な条件を満たしている職場を選ぶ。それが、子育て中の歯科衛生士が長く働き続けるための現実的な答えです。
まとめ
働きやすい職場に転職したいと思った時は、いきなり「理想の職場探し」から始めず、まずは「今何がつらいのか」に向き合い、自分が求める条件を整理していくこと。
そして忘れないでほしいのが、理想の働き方は一度決めたら終わりではないということです。
子どもはどんどん成長し、状況は変わり続けます。半年に一度や、進級・進学のタイミングなどで「今の働き方、このままでいい?」と自分に問いかけてみてください。その小さな見直しの積み重ねが、「気づいたら理想に近い働き方になっていた!」という未来につながっていきます。
完璧な両立を目指さなくていい。今日の自分にできることをひとつずつ積み重ねていきましょう。





