今回は、私が会社員を退職してフリーランス歯科衛生士になるまでに、やってきてよかったこと、やるべきことをお話します。
フリーランスになる!って決めたものの、
「まずは何をすればいいの?」
「どういった手順で進めればいいかわからない‥」
「フリーランスに必要な手続きって何?」
そんなふうにお悩みの、これからフリーランス歯科衛生士を目指したいあなたに、フリーランスになる最短経路をご案内します♩
退職までのスケジュール
フリーランス歯科衛生士になることを決意したら、まず考えるのが今の職場の退職について。退職する時期や、どうやって退職まで持っていくのかの流れを私の経験を元に解説します!
退職の意向を伝える
フリーランスになると決めても、すぐに退職を決断できる人ばかりではないと思います。きっぱり退職できる人は、時間的にも精神的にも余裕ができるので、そのほうが良いと思います。私の場合はいきなりフリーランスでやっていくのには不安があったので、仕事を辞めずに会社員をしながらフリーランスの準備を進めることを選択し、勤務を週5回から3回に減らして時間的余白を生み出しました。どちらにせよ、フリーランスの準備をするには時間を作る工夫が必要です。
退職することを決めたらすぐに、院長に退職の意思を伝えます。正式に伝える前に、「相談」という形で話しておくとスムーズです。
退職までに、残った有給休暇を計画的に消化しましょう。職場によっては消化を認めていない場合もあるため、院長先生に確認してくださいね。退職金が支給される場合は、金額や受け取り方法を確認しておきましょう。
その後、クリニックの規定に従い、正式な文書を作成して提出します。「退職願」は希望を伝える書類で、「退職届」は確定を意味するものです。クリニック側も人材確保が必要になる場合があるので、就業規則で定められた退職の通知期限(通常1~2か月前)を確認して、早めに対応しましょう。いきなり「今月末で辞めます!」というのはNGです。
- 準備のための時間的余白を生み出す
- 退職の意向を職場に伝える
- 有給休暇を消化する
- 退職金について確認
- 期限を確認して、退職願を提出
逆算して引き継ぎ
退職日が決まったら、次はそこから逆算して引き継ぎを確実に行う必要があります。具体的に誰に何を引き継げばいいのか確認して、スケジュールを立てて実行します。担当している業務の手順や、重要な連絡先、注意点を文書化して、引き継ぎをスムーズに行います。後任者がいれば、丁寧に業務を説明し、必要なサポートを行いましょう。できるだけ自分の業務を完了させ、負担を残さないようにします。
もし引き継ぎ漏れがあって、退職後に確認の連絡が来たりすれば、会社に迷惑がかかるだけでなく、自分も手が止まってしまいパワフルに行動できません!責任を持って、引き継ぎまできちんと行ってすっきりクリアな状態でフリーランスになりましょう。
SNSで情報発信と人脈作り
自分のSNSのアカウントを立ち上げたりブログを開設したりして、情報発信をしましょう。まずは、自分がフリーランスで活動していくことを周知させていくことが、今後のお仕事獲得の上で重要になります!
私自身も、フリーランスとして活動していくことを決めてからすぐ、SNSのアカウントを立ち上げました。SNSのプロフィール欄に活動内容を記載していただけでも、DMでお仕事の問い合わせがくるようになりました。中には怪しいものもあるので選別する必要はありますが、SNSでの情報発信は仕事の依頼に繋がる効果的な方法です!私の友人のフリーランス歯科衛生士も、Instagramから採用支援などのお仕事を獲得していましたよ♪
また、SNSで発信をしていくことで、同じような活動をしている方とつながることができます。同業のコミュニティやイベントに参加することで、さらに人脈を広げることができます。情報交換はもちろん、同じような志を持つ歯科衛生士さんとつながることで、周りには言えない悩みなどを共有することができてとても心強かったです!
フリーランスになる前に必要な手続き
加入している保険や年金のことって、会社員であれば会社側が管理していてくれるので、「個人事業主になったらどうしたらいいのかわからない‥」という方も多いのではないでしょうか。フリーランスになる際に必要な手続きについて解説します。
社会保険や年金の手続き
健康保険
退職後は、会社の健康保険から脱退することになります。
①任意継続被保険者になる(会社で2年以上保険に加入していた場合に選択可能で、退職日から20日以内に申請が必要です。)
②国民健康保険に加入する
③新しい会社の保険に加入する
脱退後はこのいずれかを選択します。新しい保険に加入する場合には、二重加入を防ぐ目的で「脱退証明書」が求められます。前の職場から発行してもらいましょう。無保険期間が生じてしまわないように、脱退証明書がいつ手元に来るのか事前に確認をしましょう。(私はここを確認しておらず、健康保険の無保険期間があったため病院に行くと全額負担になってしまいました…泣)
厚生年金
新しい会社に転職する場合は自動的に引き継がれることが多いですが、個人事業主になる場合は国民年金への切り替えが必要です!お住まいの市区町村役場で手続きします。
開業届の提出
フリーランスとして活動を開始した日から1か月以内に税務署に開業届を提出する必要があります。今はe-taxでネットからも簡単に開業手続きができますよ。その時に必要な書類はこちらです。
- 個人事業の開業・廃業届出書(税務署で取得、または国税庁ウェブサイトでダウンロード)
- マイナンバー通知カードや身分証明書のコピー(場合により必要)
- 屋号を使う場合は記入(任意)
青色申告承認申請書の提出
個人事業主は、住民税・所得税は自分で確定申告をして納付する必要があります。フリーランスとしての確定申告は「青色申告」が推奨されます。青色申告だと、電子申告の場合に最大65万円の控除を受けることができます!青色申告を選ぶことで税金の負担を軽減できるので、青色申告承認申請書を開業届と一緒に提出しておきましょう!
確定申告に関してはこちらの記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてみて下さい♩
収入・経費管理の仕組み作り
会計ソフト(例: freee、マネーフォワード)を導入することで、経費や税金の管理が楽になります。経費として申告できるものは必ず保存し、整理しておきましょう。
また、事業用の口座を開設し、プライベートな資金と分けて管理することをおすすめします。フリーランスになると、個人の信用情報が収入に依存するため、クレジットカードを作成できない可能性が少なからずあります。なので、社会的信用度の高い会社員時代に、事業用のクレジットカードを作成しておくと良いです。また、事業用のカードは限度額を多く設定されているケースが多いのでおすすめです。
契約書や法務関連の準備
フリーランスの取引では、契約書が重要になります。契約書には、依頼内容や報酬、支払い条件を明記しておく必要があります。作成やレビューのため、必要に応じて弁護士に相談することを検討しましょう。
請求書や領収書などは、ネットにたくさん無料のフォーマットがあるので、自分で使いやすいようにカスタマイズして用意しておくと便利です。ちなみに私はD.HITのキャリココで、すぐに使えるフォーマットをもらえて、書き方まで詳しく教えてもらったので煩わしい契約書作成に悩むことはなかったです♩
フリーランスになる前にやるべきこと
では実際にフリーランスになると決め、時間的余裕を作ったら、具体的にどのように行動したら良いのでしょうか。まとめてみました!
自分のスキルや強みを把握する
まずはこれまでの経験や知識を振り返り、自分の得意なことをリストアップします。リストアップができたら、その中から市場で評価される強みを特定しましょう。特定する際のポイントは、他の人より優れている点、もしくは異なる点を考えること。例えば、矯正の専門知識を教えるのが得意という方であれば、歯科矯正の教育・講座を行うことができます。このように自分の強みは何か?その中で求められていることは何か?をまず把握していきましょう。
ターゲット顧客を絞る
誰の役に立つ商品を作りたいか、あなたのスキルが活きる相手を明確にします。歯科医院のスタッフなのか、院長先生なのか、患者さん向けなのか…ターゲットの職業、悩み、目標などを明確化します。例えば、予防を得意とし、臨床で高単価でスポット勤務をして収入を上げたい方であれば、ターゲットは「歯科衛生士のスタッフの人材不足で困っている、予防専門の歯科医院の院長」ですよね。このようにターゲットを絞ることで、成果につながる目標を立てることができます。
競合分析を行う
あなたが考える商品・サービスを提供している競合を調べます。
- どんな商品が人気か?
- 価格帯はどうか?
- ターゲットにどんな価値を提供しているか?
そして、競合にはないけれど、あなたが提供できる価値は何かを考えます。例えば…
- 採用支援だけでなく、入職後のフォローもできる
- 臨床の人手不足の穴埋めができるだけでなく、保険点数の算定もできる
- オンラインだけではなく、直接クリニックに訪問し教育できる
などです。フリーランスのスタートは、商品を「絞り込む」ことが成功の鍵です。ターゲットのニーズを的確に捉えた商品を提供すれば、競争を乗り越えやすくなります!
商品・サービスの形を決める
スキルの棚卸しとターゲット設定ができたら、実際にどういったサービスを提供していくのかを決めていきます。ここからは、自分がやりたいことや、自分の目標とする理想の生活などを考えた上で、商品サービスを決めることが大切です。
私の場合は、「コツコツ作業を黙々とすることが得意」という強みから、「歯科医院の人材不足を補うための採用支援」を商品に決めました。私が競合と違う点は、「在宅での事務経験から資料作成が得意で、クリニックのオンライン秘書としての仕事も請け負うことができること」「採用が決まるまでの間は助っ人としての穴埋めができること」です。
目標を明確にする
「フリーランスになってどうなりたいか?」「なぜフリーランスになりたいのか?」という目標と理由を明確にします。
- 「フリーランスとして安定した収入を得たい」
- 「家族との時間をもっと確保したい」
さらに、目標を達成したい理由が明確化できたら、達成後の自分の状態や成果を具体的に描きます。
私の場合は、フリーランス歯科衛生士になる理由は「50歳までに夫婦で早期退職してたくさん旅行をしたい!」です。そのためには収入を上げる必要があります。その手段として、全国どこにいても働くことができ(転勤族のため)、時間を切り売りしなくても収入を上げていくために、在宅ワークの仕事を選びました。
目標を明確にすることで、行動に移しやすくなり、達成の可能性がぐんと高まります!ぜひ上記を参考に、自分に合った目標を設定してみてください。
具体的なスケジュールを立てる
目的が決まったら、収入や契約件数の具体的な目標を決めていきます。細かいスケジュールを立てるとスモールステップで成功体験を踏めるので、最終的な目標までのゴールに近づきやすいです!
フリーランスになるためのマインドセット
これまで、会社員からフリーランス歯科衛生士になるためにやっておくべきことについてお話ししてきました。これらができていれば、フリーランス歯科衛生士にはなれます。しかしそれだけでは、稼げるようになるまでにかなりの時間を要したり、途中で挫折して諦めてしまう可能性も…。せっかくフリーランスになったのであれば、成果を早く出したいですよね。そのために重要な、フリーランスになるためのマインドセットをご紹介します!
身のまわりをクリアにしていく
成果を出すためには、身のまわりのもの、人、お金をクリアにしていくことが重要です。自分がいっぱいいっぱいの状態だと、思考が整理されず、成果も入ってきにくいもの。まわりに物が多いと「片付けないといけないのにできていない…」といった状態になり、マイナスの感情に引っ張られてしまいます。
常に整理されている状態であれば、活動に集中することができるので、ふとした時に連絡が舞い込んできたりもするものです。私もLINEを開かず溜めていた時期があり、知り合いのクリニックの先生から食事のお誘いをいただいていることに気づかず…しばらく経って整理していた時に初めて気づく、といった経験がありました。もしかしたら、仕事のチャンスを逃しているかもしれません(泣)身のまわりをクリアにしておくことの重要性を実感した経験でした。
自分で責任をとるマインド
突然ですが、あなたが使っていたコップが机の上にあったとします。離席した時にお子さんが机の上のグラスを割ってしまった!そんな時、あなたはどういう反応をしますか?
「何してるの!気をつけなさい!」と言ってしまいませんか?私もそうでした(笑)一見、子どもが悪いように捉えがちですが、これってそもそも机の上にグラスがなかったら起こりえない話です。子どもを叱ると自分もイライラし、子どもも悲しい気持ちになり、マイナスな感情が生まれるばかりか、また同じ状況になる可能性すらあります。これでは何も前に進みませんよね。
一方で、「グラスが割れたのは、子どもの手が届くところに置きっぱなしにしていた私の責任だ。次からは、離席する時は子どもの手の届かないところに移動させておこう」と考えることができたら、どうでしょうか。自分の責任として考えることができたら、イライラすることもなくなり、次回への行動についての対策を考えることができるのでとても前向きな感情になることができます。プロとして今後活動していく上では、何事も自分ごととして物事を捉えることが重要なんです。その方が、次回への改善点も見出すことができ、成果も出やすいです。自分で責任を取ることを心がけて行動しましょう。
モチベーションを安定させる
プロとして活動していくためには、常に自分の感情をコントロールできる、ということが重要です。新しいことにチャレンジするので、どうしても壁にぶち当たり、落ち込むこともあるかと思います。しかしモチベーションが下がったままだと、自己肯定感が下がり、成果が出にくくなってしまいます。常にご機嫌でいることを意識的に行うことで、前向きな捉え方ができるようになるので、圧倒的に成果につながりやすいんです。
私は、落ち込みそうになったら晩酌をして、主人に聞いてもらうようにしています。主人は私のことをいつも褒めてくれますが、間違ったことはこうした方がいいと導いてくれるので、私にとってご機嫌を維持するのに欠かせない存在です。
みなさんは、何をしたらご機嫌になれますか?自分が常にご機嫌でいられるように、自分の機嫌を自分でとれるようにしていきましょう。