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ママになっても、歯科衛生士続けたい!ママ衛生士に優しい職場の探し方

「産後、歯科衛生士として復帰したいけど、子育てとうまく両立できるのかな…」

「子どものことで迷惑かけてしまうけど、歯科衛生士として働きたい!」

仕事と育児の両立は、ママ歯科衛生士の共通の悩み…。私も現在一児の母ですが、妊娠した当初は「子育てしながらどうやって歯科衛生士として働いていこう?」と悩んでいました。

今回は、同じように悩みを抱えている歯科衛生士さんに、ママになっても歯科衛生士として活躍できる!ということを知ってほしいと思い、ママに優しい職場の見つけ方をまとめました。

ママになっても自分らしく働ける環境を手に入れましょう!

平野有沙
D.HIT編集部 平野有沙
新卒から歯科医院や大学病院での勤務を経験。出産をきっかけに「子供と一緒に居られる、限りある時間を大切にしたい」と思い、フリーランスへ転身。現在は、歯科医院向け記事の執筆、SNS運用、資料作成、採用支援など在宅ワークを中心に活動中。

ママ衛生士の働きづらさとは?

歯科衛生士は、女性が多いですよね。日本歯科衛生士会による歯科衛生士の勤務実態調査報告書(令和2年3月)によると、歯科衛生士の男女比は、女性99%に対し男性が0.4%です。

圧倒的に女性の多い職業なんだから、子育て中でも働きやすいのでは?たくさん前例もあるはずだし、女性のライフイベントである結婚、出産、育児などにも理解があるのでは?と思いますが…現実は厳しい、という声も多いです。

日本歯科衛生士会の調査によれば、歯科衛生士の転職理由の1位は、出産・育児。出産と育児をきっかけに、それまでの勤務形態では働けなくなって辞めてしまう人はとても多いんです。

歯科医院は、なぜママになると働きにくくなるのでしょうか?

ママとして働きにくいのはなぜ?
  • 拘束時間が長い
  • 休みが取りにくい
  • 休んだ分給料が引かれてしまう

拘束時間が長い

ご存知の通り、歯科医院の正社員は拘束時間が長いところが多いです。その大きな理由は、夜遅くまで診療していることとお昼休憩の時間が長いこと。

夜遅くまで診療している医院、本当にたくさんありますよね。患者さんの需要に応える形で18時以降も診療している医院が多く、中には20時や21時までやっているところもあります。私が新卒で勤めていた歯科医院も、診療が終わって電車に乗れるのは毎日20時ごろで、友人との集まりにはいつも遅れて参加していました。

また、歯科医院はお昼休憩が1時間30分〜2時間のところが多いです。それだと8時間勤務だとしても、拘束時間が10時間を超えてしまうことも。そこに移動時間を含めると、11〜12時間近く子どもを保育園に預けることになります。保育園は延長料金がかかりますし、子どもが小学生になったら学童ではそんなに遅くまで預けておけません。仮に保育園や学童を活用してフルで働けたとしても、子どもの睡眠時間や、帰宅してからのお風呂や夕飯の時間などを考えると、現実問題、物理的に時間が足りません。仕事の日はほとんど子どもと関わる時間がなくなってしまいます。

一般企業であれば子どもが小学校低学年までの間は時短勤務できるところもありますが、歯科医院では時短勤務を取り入れているところ自体がまだまだ少ない状況。続けたくても、辞めるか、パートになるか…という選択肢しかないことも多いんです。

たとえば、個人の歯科医院ではなく病院や行政などの大きい組織であれば、休憩時間も短く、勤務も夕方までなのでこの問題は回避できるかもしれません。ですが、病院や行政の求人は圧倒的に少なく、倍率もかなり高くなりがちです。それに、病院勤務をしている友人によると、帰りは間に合うけど朝が早いという別の問題もあるようです。「小学生の子どもを一人残して家を出なければならず、転職を考えている」と言っていました。

こういった現実があり、夫や両親などの協力がなければ、拘束時間が長い歯科医院ではフルタイム勤務を続けるのはなかなか厳しいんです。

休みが取りにくい

子どもが小さいうちは何かと病気にかかりやすいものです。突然熱を出すこと、とても多いですよね。熱があると保育園でも預かってもらえず、仕事を休むしかありません。

歯科衛生士業務が担当制だったり、歯科衛生士の数をギリギリで回しているような医院の場合は特に、急な休みが取りにくいです。

休むために他のスタッフに代わりをお願いしなければなりません。どうしても他のスタッフに皺寄せがいくので、嫌な顔をされることもあります。子どもがいる方なら事情や気持ちをわかってくれる場合が多いですが、子どもがいない人や、今まで子育てママと同じ職場で働いたことがない人だと、なかなか想像ができないものです。

友人が勤務している歯科医院では、初めて子持ちのパートさんを雇った時、「こんなにしょっちゅう休むの?!」とみんなでびっくりしたそうです。仕方ないことはわかっているけど、院長に対して「なんでママ衛生士を雇ったの?」と不満に思ったと言っていました。。

ちなみに私が勤めていた病院では完全担当制で、急に休む場合は患者さんに電話をして、予約をキャンセルしていました。あまりに頻繁だと、患者さんも「また?」となってしまいますし、キャンセルの電話を掛けるスタッフの手間もあってとても大変で、頻繁に熱を出す子どもを持つママのためを考えたシステムではないと感じていました。

また、子どもの体調不良以外にも、保育園・幼稚園・小学校は保護者参加の行事がありますよね。行事のお知らせは事前にあるので前もって休みをとりますが、完全担当制である場合はかなり前から日程を把握して休みをとっておかないと、患者さんの予約が入ってしまいます。私の場合は3ヶ月メンテナンスの方ばかりだったので、学校の行事や旅行などで休みたい時は最低4ヶ月以上先でないと、なかなか難しかったです。日頃から子どもの体調不良で急な休みを取ってばかりいると、行事で休みたい時などに「また休むの?」と思われそうで、言いにくいこともありました。

こういうことが積み重なり、他のスタッフへの申し訳なさや、肩身の狭い思いに耐えられず、産休から復帰しても辞めていく歯科衛生士をたくさん見てきました。

休んだぶん給料が引かれてしまう

子どもが病気にかかると、1日や2日では治らないこともあります。インフルエンザ、新型コロナウィルスなどの感染症は、看病をしている親も一緒にかかりがちです。そうなると、子どもが具合の悪い期間と親が具合の悪い期間を通して休むことになるので、1週間以上仕事を休まなければいけなくなる場合もあります。家族が順番に感染して、1週間ではきかないこともあるでしょう。

子どもの病気関連で年間の有給休暇を使い果たしてしまうというのは、よくある話です。実際、私の先輩も、有給休暇では足りず、最後には欠勤扱いで休みを取っていました。

正社員でも、歯科医院によっては欠勤が続くと給料から差し引くところも多いです。そのため、正社員なのに想定した給料よりも全然入らなかった…ということもあります。

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職場探しでチェックしたいこと

どのような歯科医院であれば、ママ衛生士も働きやすいのでしょうか?一人一人置かれている環境によっても重要視する部分は違うと思いますが、1歳児ママの私からみて、働きやすいと思う職場の条件を考えてみました。

ママ衛生士が働きやすい職場
  • 自宅から近く通いやすい
  • 退勤時間が早い
  • ママスタッフが在籍
  • 産休・育休取得実績がある

自宅から近く通いやすい

私はママとして働くことを考えた時、ここを一番重視しました!毎日のことでもあるので、自宅からの近さは重要です。保育園などから急な呼び出しがあった場合にも、すぐに対応できます。

以前勤務したことのある歯科医院では、お昼休みの時間に、スーパーで夕飯の買い物を済ませたり、一度家に帰って家事を済ませたりしている方もいました。歯科医院はお昼休みが長いところが多いですが、その時間を家事などに当てられると、仕事が終わってからの時間を有意義に過ごせそうですよね。

ただし中には外出があまり自由にできない歯科医院もあるので、面接時に確認しておきましょう。

退勤時間が早い

夜遅くまでやっている歯科医院は多いですが、診療時間が17時〜18時までの歯科医院もあります。

また、歯科医院の診療時間自体は長くても、時短勤務可のところも探せば見つかります。歯科衛生士不足により、「限られた時間でも良いので勤務してほしい」というところもあります。求人票に時短勤務の可否が載っていなくても、時短勤務ができないか聞いてみるのもありです。

子どもが小さいうちは、夜遅くまで働くのは現実的に難しいです。代わりにお迎えに行ける方がいればいいのですが、私は夫の帰りが22時ごろと遅く、実家も近くなくて、自分以外で子どものお迎えを頼れる人がいないので、臨床勤務するのであれば退勤時間の早さは必要不可欠です。

ママスタッフが在籍

ママ衛生士がすでに勤めている場合は、院長や周りのスタッフも、子どもがいる場合の働き方を理解していることが多いです。同じような状況の方がいたり周囲の理解があるだけでも、働きやすさはかなり変わります。周りの目が気になる人や、周囲に申し訳なく感じやすい人は特に、チェックしておいた方が良いでしょう。

子どもの発熱関係は、実際に小さな子どもがいる歯科衛生士と働いた経験がないと、なかなか伝わりにくい部分でもあります。

私の職場でも以前、ママ衛生士さんが長期間休んでいた時にずっと愚痴を言っているお局衛生士さんがいましたが…その後、休みがちなママ衛生士さんの人数が増えてきてからは、何も言わなくなりました。過去に勤務してきたそういう先輩ママ衛生士さんたちのおかげで、私も子どもの体調不良時にお休みをいただきやすくなっているので、感謝です!

産休・育休取得実績がある

産休・育休の制度はあっても、実際に過去に取得した人はいない…となると、子育てに理解のない職場かもしれません。

今現在ママ衛生士が在籍していなくても、取得実績があるようであれば過去にはいたということなので、院長や周囲のスタッフも子どもがいる場合の働き方をある程度把握している可能性は高いです。

ただし可能性でしかないので、入ってみたらそこまで理解がなかった…という場合も大いにあります。

ある歯科医院では、何人か産休育休を取得していましたが、院長の理解がないと感じたことがあります。それまで妊娠や出産をしてもわりとしっかり出勤できる人が多かったためか、ある時、つわりがひどく出勤できない衛生士さんに「妊娠は病気じゃないんだから」「初めての妊娠で精神的にナイーブになっているんだ」という発言があったんです。なので、必ずしも、産休育休取得実績がある=出産子育てに理解があるとも限らないなぁとは思います。

歯科衛生士を採用するために形だけ産休育休制度を掲載している場合もありますし、取得実績は多数あってもそこから復帰した人はゼロだったり、結局復帰後は働きにくくてみんな退職していたり…といったパターンもあるので、そのあたりもできれば確認しておきたいです。

具体的な職場の探し方

では、このような「ママ衛生士が働きやすい条件の職場」をどうやったら見つけることができるのか、具体的な探し方を深堀りしていきましょう。

「ママ」「子育て」検索ワードを工夫する

グッピーやジョブメドレーで求人を見る時に、検索ワードに「ママ」「子育て」など入れてみましょう!

  • 「子育てママOK」
  • 「ママスタッフ在籍」
  • 「ママ必見」
  • 「平日時短勤務相談」
  • 「子連れ出勤可」

などなど、クリニックによって書き方は様々なんですが、ママ衛生士の働きやすさに力を入れているクリニックであれば、必ず求人票に記載があります。子育てママが衛生士として働きにくいことを見越して記載してくれてるわけなので、子育てに理解がある職場であると言えます。

ママの立場からしたら、すごく応募しやすくてありがたいですよね!

実際に検索してみた!

ジョブメドレーで実際にワードを入れて検索してみました。

たとえば、「子育て」という検索ワードを入れて出てきた求人がこちら。

タイトルに「ママさん衛生士多数在籍!」の文字。子どもの急な体調不良や学校行事のことまで、ママ衛生士が気になる点を具体的に記載してくれています。特に私としては、現在子どもの急な体調不良で臨床のシフトの半分を休んでいる状態なので…そこまで理解してくれていることがわかり、非常にポイントが高いです!このように求人の段階ではっきり記載してくれていると、安心して働けますよね。

次に、「時短勤務」と検索してみたら、このような求人が出てきました。

こちらは短時間正社員制度に加え、スタッフ用の託児所まで完備しているようです。実際、地域によっては保育園に入れずに仕事復帰できないという現実もあるので、育休明けにも正社員で勤務したい方にはとても充実した環境ですね。

このように、キーワードを工夫して検索してみると、働きやすそうと感じるクリニックも意外と多いですよ!通勤がしやすい範囲で、このような職場がないか根気よく探してみる価値はありそうです。

知人の紹介

知人の紹介で雇ってもらう場合、勤務の内容に融通を聞かせてもらえる可能性が高いです。

あらかじめ子育て中であることを伝えた上で紹介してもらい、「それでもいいので来てほしい」と言ってもらえたら、子育ての事情を理解してもらった上で気持ちよく働けそうですよね。

衛生士校時代の同期や、知り合いの先生などの歯科関係者など人脈を駆使して、歯科衛生士を募集している歯科医院はないか聞いてみましょう。

気になった歯科医院へ交渉するのもアリ

求人を見て、「いいな」と思った歯科医院があっても、特にママ向けの時短勤務や休みについて記載がない場合もあります。

でも、そこで諦めるのはまだ早いです!

今はどこも歯科衛生士不足の時代。「どうしても来てほしい」「とにかく来てほしい」といった歯科医院はたくさんあるので、気になったのであればとりあえず面接に行って、交渉してみるというのも一つの手です。

大企業のように制度が整っている歯科医院は少ないですが、それは逆を言えば、経営者である院長と直接交渉しやすいところが強みでもあります。

あらかじめ自分の理想の勤務時間などをしっかり決めておいて、面接時に院長に提案し、交渉してみましょう。その歯科医院で前例がなくても、理解のない院長だとは限りません。すり合わせをしていくのは大変ですが、自分が先駆けとなって理想の職場にしていくこともできます。歯科衛生士として働くことを諦めてしまうのではなく、自分の希望条件で相談し、働きやすい歯科医院を作っていくんです。それは、その医院で働く他の衛生士さんたちの未来のためにもなります。

フリーランスというもう1つの選択肢

私は出産前、大学病院で正社員勤務をしていたのですが、そこでは土曜出勤が月に数回必ずありました。毎週ではないですが、好きなタイミングで休める感じではなく、夫も土曜に仕事があるため頼れず…。正社員で続けるにはどうしても子どもを週6日保育園に預ける必要があり、とても抵抗がありました。それに保育園では土曜日に親が参加する行事が多いので、子どもの行事に出席できなくなってしまうのは嫌だ!と思いました。

また、その病院では子どもが3歳までは正社員でも時短勤務で働けるという制度があり、産休明けのスタッフはみんな利用していましたが、子どもが3歳を超え時短勤務が終わったら次々に退職していく先輩歯科衛生士たち。それを見ていて、「産休中にどうにか働き方を変えたい」と強く思うようになったんです。

結局、正社員は辞めることに決めました。

そして選んだのは、フリーランスの道。出産後も自由に動きやすいよう、在宅ワークをメインに働き方を変えました。

育休中にキャリココを始め…臨床に復帰する前に、在宅ワークでの収入源を得ることができました!歯科衛生士として在宅ワークができれば、もし臨床に出れなくなっても収入を得ることができます。現在はパートで臨床にも出ていますが、やはり子どもの急な発熱で出勤できなくなってしまうことは多いです。そんな時にも、他に収入源があることで、気持ちの面でも安心して休むことができています。

キャリココについてはこちら!

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まとめ

歯科衛生士という仕事は、ママになると働きづらく、パートに切り替えたり、離職してしまう人は多いです。歯科衛生士が嫌いになったのではなく、本当は働きたくても生活条件的に厳しくて離職しなければならないという人もたくさんいます。

しかし最近では、深刻な歯科衛生士不足であり、ママ衛生士の働きにくさを改善していくことの重要性に気づく医院が増えていると思います。求人を見ていると、ママポジションの歯科衛生士を募集するような文言をよく見かけるので、良い流れが来ていると感じます。今後、ママ衛生士が働きやすい職場がどんどん増えてほしいと願います!

平野有沙
D.HIT編集部 平野有沙
新卒から歯科医院や大学病院での勤務を経験。出産をきっかけに「子供と一緒に居られる、限りある時間を大切にしたい」と思い、フリーランスへ転身。現在は、歯科医院向け記事の執筆、SNS運用、資料作成、採用支援など在宅ワークを中心に活動中。