優秀な歯科衛生士にとっては「ものすごい」歯科市場

歯科衛生士の求人倍率は異常に高く全国平均21倍。いわゆる「超」売り手市場です。コロナ禍においても毎日のようにクリニックやドクターから「歯科衛生士いない?」という連絡が後を絶ちません。この超売り手市場において、歯科衛生士は働き方を自分次第でいくらでも選択できる時代と言えます。実際に次のような条件で仕事をしている歯科衛生士さんを何人か知っています。

  • 時給2000~2500円(多い人は3000円のケースも)
  • +自費メニューの販売インセンティブ
  • いつ来てもいい(来たいときに来れば良い)
  • 交通費全額支給
  • SNS運用手当(月5万円)
  • リファーラルやSNS経由で歯科衛生士採用できたらボーナス

この働き方を「フリーランス」と呼ぶのかどうかはわかりませんが、時間、収入、成果報酬ともに自由度が高い働き方だと思います。一般的に「フリーランス」というと、講演、本の執筆、研修といった活動をイメージされる方が多いようですが、全国の悩める歯科衛生士さんと会話をしていると、上記の例のような「自由度の高い」働き方を求めている方が多いように感じます。

自由度の高い働き方を目指すには

では、どのようにして自由度の高い働き方ができる歯科衛生士になれるのか? 上記で紹介した採用例の歯科衛生士はとても優秀な歯科衛生士です。何をもって「優秀」というかの基準は人それぞれ違うと思いますが、少なくとも採用したクリニック(院長)にとっては、その条件で「是非働いてほしい」と思ったということは事実です。このような歯科衛生士の採用事情に関して考察をしてみたいと思います。私が言うには、上記のような歯科衛生士さんは、

①提案をしている

②実際に優秀で、それがわかりやすい

提案する力の重要性

まず①提案をしているという点。これをやっていない歯科衛生士さんが実に多いです。もう少し掘り下げて考えてみると「提案」の前に、考えてもいないという方が非常に多いです。自分は時給3000円で働きたいなと思っていても、実際にどのようにすれば時給が3000円になるのか考えていない方が多いということです。次に、実は時給3000円で働けるだけの能力や実績があるのに「時給3000円にしてください」と言っていないという方も多いと思います。

では「提案」とはなにか?という話ですが、シンプルに結末だけを言うと「このようにしていただけませんか?」ということです。時給を3000円にしたい場合は「時給3000円にしていただけませんか?」と言うことです。すでに能力も実績も備わっている場合は、そう言ってみるだけであっさりとOKがもらえるかもしれません。しかしほとんどの場合は、その評価は明確でないことが多いので「○○なので、時給を3000円にしていただけませんか?」というように、○○の情報をわかりやすく、伝わりやすく、理解と共感を得られるように準備して提案するということです。あるいは「時給を3000円にしたいのですが、どのようにすれば時給3000円にできますか?」と聞いてみることです。そしたら、もしかしたら明確に条件を教えてくれるかもしれません。または「うちでは絶対に無理」という回答があるかもしれません。いずれにしても「明確」になれば意思決定ができます。このように考察した場合、ほとんどの歯科衛生士は「言っていない」または「言うほど考えてない」状態で文句を言いながら働いているという状態だと思います。私が大好きな経営者の言葉に「言ってみる」「行ってみる」「やってみる」という言葉があります。まさに、超売り手市場の最高な市場で満足のいく働き方が出来るかどうかは「行動」できるかどうかにかかっています。行動なき者に成果なしです。

優秀さを証明する方法

次に、②実際に優秀で、それがわかりやすいという点。歯科衛生士にとって「優秀」とは、技術、コミュニケーション、マネジメント、その他さまざまな要素はあると思いますが、それらのレベルが高いことはもちろんですが「わかりやすい」ということを意識している歯科衛生士はどれほどいるでしょうか。わかりやすいというのは、できれば誰にとってもわかりやすい方が、前述している提案できる場が増えます。

では、わかりやすいとはなにか?それは数字で表すことが出来るということです。例えば、スケーリングの技術が高いことを数値化するとしたら「○○の範囲のスケーリングを○○分で出来ます」というように表現できます。この場合は「スピード」に関して数値化していますから、早いね、遅いねという評価になりますが、それに加えて「私の指名患者が月間200名いてリピート率は90%です」となると「優秀ですね」という評価になりやすいです。

自由な働き方をどのように定義するかはおいておいて、時間の自由、お金の稼ぎ方の自由度の話をするならば「売上」や「利益」に貢献できることを、数字を用いて表現できることが絶対的に有利です。なぜならば、それを実現するための財源は売上であり利益ですし、あなたの稼働に対する費用対効果は売上や利益から算出されるからです。つまり「優秀」とは、最終的に売上や利益にどれだけ貢献できるかという話であり、「いい人」とか「かわいい」というような抽象的な評価は好みや解釈の問題ということです。(抽象的な評価も結果的に売上や利益につながっているという考え方もありますが)少し話が脱線しましたが、自由度が高く稼げる歯科衛生士になるためには、まず売上や利益に貢献できる実力(知識や能力)を身に着け、それを業績として明確に表現でき、そのことをコミットできる歯科衛生士になることから始めると良いと思案します。

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「優秀で、わかりやすく、提案ができる歯科衛生士になっても、それを受け入れてくれる歯科医院がありません」 というご意見を頂きました。これはシンプルに営業力不足だと思います。優秀だから売れるのではありません。歯科業界以外でも同じことが言えますが、いい大学を出たからいい会社、いい給料をもらえる時代はとっくに終わっています。受け入れてくれる歯科医院がないのではなく、受け入れてくれる歯科医院に提案していないだけです。あるいは、受け入れたいと思わせていないということです。もちろん簡単なことではないかもしれません。前述している通り超売り手市場であり、異常なほど「ものすごい市場」だと思います。歯科衛生士自身が優秀であればバブルと言っても過言ではない売りやすい市場と言えます。この時代に自由に稼げる歯科衛生士になるために、大量行動で実力をつけていきましょう!

シン・歯科衛生士論3.0