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歯科衛生士、患者さんを「褒める」と良いですよ。

「患者さんと何を話せばいいかわからない」

「もっと話しやすい歯科衛生士になりたい」

「信頼される存在になりたい」

このような悩みを持つ歯科衛生士さんは多いのではないでしょうか。特に自分と年齢の差があったり、性別が違ったりすると何を話したらいいかわからないですよね。

今回は、患者さんとの距離を縮めて、安心してクリニックに来てもらえるようになるための具体的なコツを紹介します。「頭ではわかってるんだけど、なかなか一歩踏み出せない」そんなあなたも、この記事を読んで少しでも参考にしてみてくださいね。

sakura
D.HIT編集部 sakura
千葉県在住 歯科衛生士歴17年目
新卒で歯科メーカーに就職。その後、歯科衛生士として公務員に転職。 結婚・出産を経て、「自由な働き方がしたい」と考えてフリーランス歯科衛生士へ。  現在は、臨床をやりながら、スタッフ教育を含むコンサルタントやオンラインでの歯科相談をして活動中。

患者さんが話しやすくなる秘訣は「褒めること」

ズバリ、患者さんが話しやすくなる最大のポイントは「褒めること」です。人は誰でも「認められたい」という欲求を持っているもの。小さなことでも褒められると、「この人は自分を理解してくれている」と感じ、心を開きやすくなります。

なぜ褒められると心を開くの?

「ドーパミン」って聞いたことがありますか?人は褒められると、脳内で「ドーパミン」という幸せホルモンが分泌されます。すると、幸福感が増し、安心して会話を続けやすくなるのです。特にポジティブなフィードバックを受けた時には、記憶力や学習意欲も向上することがわかっています。(医療法人社団平成医会ドーパミンを増やすことで得られるメリット

株式会社リンクアンドモチベーションの調査では、「褒められることが多い職場では従業員のコミュニケーションが活発になる」との報告があります。些細な努力や変化を褒められることで「認めてもらえている」と感じ、安心感が生まれ、会話のハードルが下がるのでしょう。

余談ですが、お笑いタレントの明石家さんまさんもこの「褒める」技術を使っています。テレビ収録の前に共演者の良いところを積極的に褒めることで、相手がリラックスできるようにこころがけているそうです!

「褒めることで場が和み、相手も話しやすくなる」

この方法は、患者さんとのコミュニケーションにも応用できそうです。

褒めることで得られる3つの効果
  • 会話のきっかけが生まれる
  • 信頼関係が深まる
  • リラックス効果がある

まず、褒めることは会話のきっかけになります。相手の年齢や性別に合わせた話題を…なんて考えると、なかなか会話は生まれにくいもの。でも「褒める」というのは、年齢や性別関係なくできることです。なんの話題にしよう…と悩まなくても、「毎日歯磨き頑張っていますね」など自然と出てくるのではないでしょうか。褒められてムッとする人はあまりいないので、自然と笑顔が生まれて場が和やかになります。

そうやって頑張っていることを認めてあげるだけで、患者さんは自分のケアについて話しやすくなります。褒められたことで「自分を理解してくれている」と感じ、心を開いてくれます。緊張しがちな患者さんも、褒められることによって少しずつ安心感を持ってくれるようになりますよ。ぜひ「褒める」ことを意識してみてください。

「褒めることは大切」と頭では理解していても、実際に実践し、効果を実感するまでには時間がかかることもあります。忙しい診療の中で「わざわざ褒めるところを探す時間がない」という人もいるかもしれません。でも、たった一言の褒め言葉が患者さんの心をほぐし、信頼関係を築く第一歩になります。まずは小さな変化に気づき、声に出すことから始めてみましょう!続けるうちに、患者さんとの会話がスムーズになることを実感できるはずです。

具体的にはどんなことを褒めたらいいの?

褒めると言っても、具体的にどんなことを言えばいいかわからない!頭ではわかっていても行動に移せない!という方は、参考にしてみてくださいね。

こんなことを褒めてみよう!
  • 口腔ケアの努力を褒める
  • 小さな変化に気づいて褒める
  • 患者さんの工夫を褒める

歯科衛生士が一番に気づくことができるのは口腔ケアの努力ではないでしょうか。

  • 毎日しっかり歯ブラシをしている
  • 奥までちゃんと磨けている
  • 歯間ブラシも使って素晴らしい!
  • フロスの通し方が上手!

などたくさんあると思います。私が新人の頃、口腔内が清掃不良の患者さんが来院され、私は「どこも褒めるところがないな…」と思ってしまったのですが…私の先輩は「歯ブラシがうまく持ててますね!人差し指を少しずらすともっと上手くなりますよ!」とまさかの歯ブラシが持てたことを褒めていたんです。後でその先輩から「褒めることがない患者さんはいない。みんな何かしら正しいことをやってきている。だからそれを見逃さずによく観察してね!」と言われ、ハッとしました。

口腔内の変化についても褒めるとさらに良いです。口腔内の変化というのは、患者さん本人はなかなか気付けないもの。「前より歯茎の色がきれいになりましたね!」と変化を褒めることによって、患者さんは自分の口腔内に対して新しい発見が生まれ、自分のケアに自信もついてモチベーションも上がり、一石二鳥です。

口腔内を診るタイミングがなければ、患者さんの来院に対する工夫を褒めてみるのはいかがですか。例えば、ちゃんと予約通り定期的に来てくれる患者さん、時間通りに遅れずにきてくれる患者さんなら、「ちゃんと定期的に来てくれてありがとうございます」「いつも予約の時間ぴったりに来てくださって助かります」など褒めることもできます。

少し前、私が患者さんに褒めた内容は…「麻酔をしてほしいと素直に言えたこと」です。私は、歯科クリニックや整体に患者として行って「痛いな・・・」と思ってもなかなか正直に「痛いです」と言えないタイプです(笑)つい我慢しちゃうんです。でもその患者さんは、根治の治療でタービンで歯を削ろうとした瞬間、「あっ!もしかして痛い治療ですか?先生、すみませんが麻酔してもらえませんかぁ?痛いのが本当に苦手で…」とすごく素直に麻酔をお願いしていたんです。私はその光景を見て、「なんて素直にお願いできる方なんだろう、すごいな…」と感心してしまって、治療終わりに声をかけました。

すると患者さんは「だって痛いの嫌なんだもん!痛いの嫌じゃない?私嫌なのよ〜!!でもそう言ってもらえて、麻酔お願いしてよかったって思ったよ。迷惑になってたら申し訳なかったからさ!」と言ってくださいました。その方は麻酔をすることには何も抵抗はなかったそうですが、わがままを言っていいのかと少し迷いもあったそうです。患者さんの中には治療に関して「こんなこと言ってもいいのかな?」と迷う人もいると思います。わからない歯科治療に対して「こうしてほしい」と素直に言えるのって、すごいことだと思いませんか?

このようなちょっとしたことでも、大袈裟に褒める必要はなく、「気づいたこと」を言葉にするだけで患者さんには気持ちが伝わります。ぜひ試してみてください。

褒めるときに注意したいこと!

褒めるのは基本ですが、ただ闇雲に褒めればいいと言うわけではありません。実は「いい褒め方」と「悪い褒め方」があります。私が患者さんを褒める時に気をつけていることを解説していきますね。

私が気をつけていること
  1. 無理に褒めない
  2. 他と比較しない
  3. 目を見て伝える
  4. 誠実に伝える
  5. 患者さんに合わせた褒め方を意識する

まずは無理に褒めないこと。褒めることが大事だからと言って無理に良いところを探そうとすると、かえって不自然に感じられ、嘘っぽくなり逆効果です。患者さんは意外と敏感で、心のこもっていない褒め言葉は見抜かれてしまうものです。できるだけ、事実に基づいた褒め方をしたり、気づきにくい努力を拾うことが大切です。「ちゃんと磨けていますね」よりも「奥歯の裏側まで丁寧に磨けていますね」と具体的に伝えられるとさらに良いです。過剰に褒めたり、毎回同じ言葉を使ったりすると、かえって信憑性が薄れてしまいます。褒める時は、心から感じたことを素直に伝える姿勢が大切です。

他の患者さんと比較するのはNGです。他者との比較は、褒め言葉のつもりでもプレッシャーを与えたり、むしろ相手に不快感を与えたりする原因になります。「他の人と比べられている」と感じると、信頼関係が損なわれることもあります。比較をするなら、患者さん自身の過去と現在を比較するようにしましょう。「誰かと比べて」ではなく、「あなたができていること」にフォーカスすると、安心して聞いてもらえると思います。

伝える時は目を見て、誠実に伝えるようにしましょう。目を見ずに言うと、形式的に聞こえてしまい、心に響きにくくなってしまいます。視線を合わせることで、より誠実さが伝わります。治療中ではなく、治療後の説明時や患者さんが顔を上げたタイミングに声をかけましょう。

私が一番難しいと思っているのが、患者さんに合わせた褒め方をすること。患者さんの性格によって、響く褒め方は異なります。たとえば、慎重な性格でコツコツタイプの方には細かい努力を褒めたり、自己肯定感の低い方にはポジティブな変化を強調したりすると、響きやすいです。状況に合わせるのもいいかもしれません。痛みがある治療の後には「頑張りましたね!」と励まし、口腔ケアに対しては「この調子で行きましょう」と認める&前向きな言葉をかけてあげるとよいです。

単に褒めるだけでなく、「どう褒めるか」に意識を向けると、より患者さんにかける言葉も変わってきます!

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第一印象で話しやすいと思われるコツ

クリニックに訪れる患者さんは、不安や緊張を感じていることが多いものです。そんな時、担当の歯科衛生士が「話しやすい」人だったら、安心して治療に臨んでもらえますよね。特に初対面の印象は患者さんの信頼感を大きく左右するため、第一印象を意識したコミュニケーションが重要です。

患者さんが「話しやすい」と感じるのは、どんな歯科衛生士でしょうか?

  • 表情が柔らかく、笑顔が多い
  • 落ち着いた声のトーンと、ゆったりした話し方
  • しっかり目を見て話を聞いてくれる
  • 威圧感がなく、親しみやすい雰囲気

こうして並べると当たり前のようですが、これが実際にはなかなか難しいものなんです。これがすべてできているという人は、実はかなりの上級者かもしれません。

みなさんは「メラビアンの法則」をご存知ですか。アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱した法則によると、コミュニケーションにおいて相手に与える印象は3つの要素で決まるとされています。

  1. 視覚的な情報(55%):表情・身だしなみ・態度
  2. 聴覚的な情報(38%):声のトーン・話すスピード
  3. 言語的な情報(7%):話している内容

話の内容より、見た目と声のトーンなどで印象の9割以上が決まるというのです。この法則からすると、患者さんに「話しやすい」と感じてもらうために重要なのは、話の内容よりも「表情などの見た目」「話し方」ということです。これを意識することで、相手に与える第一印象がグッとレベルアップします! 

まずは、「笑顔」と「目を見て話すこと」から意識してみましょう。

印象を良くするためのポイント
  • 目元の表情を柔らかくする
  • 声を明るく、半音上げる
  • アイコンタクトを意識する

クリニックでは常にマスクをしていますよね。マスクを着用していても笑顔を伝えることはできるのですが、人は笑顔を作る時、目よりも口が先に動くと言われています。口元が隠れていると、笑っているつもりでも口しか動いていなくて「目が笑っていない」表情になってしまいがちです。マスクをしている時は特に、目元で笑うことを意識しましょう。

アイコンタクトのポイントは、患者さんの目線より少し下で目を合わせることと、話しながら時折り視線を外すタイミングを作ること。上から見下ろしたり、じっと目を見て話すと、圧を感じさせてしまいます。位置は少し下から見上げるくらいにし、また適度に視線を外すことで、威圧感を与えることなく話ができます。

これはやらないで!NG行動

歯科衛生士とのコミュニケーションは、患者さんの満足度を大きく左右します。どれだけ技術が優れていても、対応次第で患者さんが不安を感じたり、不快に思ったりすることは大いにあります。

事務的な対応はNG

想像がつくかと思いますが、事務的な対応はNGです。

×こんな対応はNG!!
  • 説明もなく「では、お口を開けてください」と淡々と進める
  • 目を合わせずマニュアル通りの説明だけ
  • 患者さんの質問や不安に対して短く冷たい返答

患者さんは治療に対して不安を感じています。こういった機械的な対応ではなく、温かみのある接し方が求められます。特に初診の患者さんはクリニックに対する不安が大きいため、笑顔や声のトーンに注意を払いましょう。

私の娘は、訳あって2つの歯科クリニックに通っています。先日、娘と「どちらのクリニックが好き?」という話になりました。娘が気に入っていると言ったクリニックは、ちょっとしたクリーニングの際にも「今日学校楽しかった?」など声をかけてくれるから安心するそうです。

もうひとつのクリニックはそういった声掛けがなく、歯科衛生士同士がワイワイ話している声は聞こえるけど何を話しているか分からないし、自分にはかなり低いテンションで接してくるため、感じが悪く見えてしまうそうです。わずか小学校4年生の娘からの意見にハッとさせられてしまいました!!

少しの心くばりが、患者さんの受ける印象を大きく左右するんです。「優しさやおしゃべりよりも治療の腕のほうが重要」という人も一定数いるとは思いますが、相手が子どもであれば特に、親しみやすく安心できる雰囲気が重要だと思います。

患者さんの話を聞かないのはNG

診療が忙しいと、患者さんの話を最後まで聞く時間がない場合もあると思います。しかし、患者さんの話というのは患者さんの主張です。主張を聞かないと、「自分のことを理解しようとしてくれていない」と感じてしまう可能性があります。

×こんな対応はNG!!
  • 患者さんが痛みを訴えているのに「大丈夫ですよ」と軽く流す
  • 質問や不安な気持ちを最後まで聞かずに治療を始める
  • 患者さんの話を途中で遮る

患者さんは自分の悩みを理解してもらいたいと感じているもの。話を聞かない姿勢は信頼を損なうだけでなく、必要な情報を見落とす原因にもなります。

ここで私の知り合いの失敗例を紹介します。彼女が新人の頃、アシスタントについていた時、治療が終わった患者さんを待合室に案内したのですが、その時に患者さんの話が止まらなかったのだとか。次の患者さんの対応に追われる中で、「すみません、こちらでお待ちください!」と話を中断させてしまい、受付でお会計の時に「あの歯科衛生士さん、私の話を全然聞いてくれなかった!」とクレームになってしまった…というケースがあったそうです。

話を聞いてほしい患者さんの場合、無理やり話を中断させるとクレームになってしまうこともあります。患者さんの話が長くなりそうな時には、さりげなく自分に動作を加えたり、次回のアポイントの話に持っていくなど、相手にそれとなく気づいてもらえるように誘導していくテクニックもあります。

良い対応のポイント
  • 患者さんの話を最後までしっかり聞く
  • 「痛みについて教えていただけますか?」と具体的に尋ねる
  • 不安な点を確認し、共感を示す言葉を加える(「それは不安ですよね」など)

↓クレームになってしまった時の対処法はこちら。

歯科衛生士が知っておくべきクレーム対応を防ぐコツ|誰でもできる3つの対処法
歯科衛生士が避けては通れない、患者さんとのコミュニケーション。説明不足や誤解からクレームに発展することも…。クレームを未然に防ぐためのポイントや、実際にクレームが起きた際のピンチをチャンスに変えるコミュニケーション術を徹底解説

余計なひとことを言うのはNG

悪気なく、余計なひとことを言ってしまう人…たまにいますよね。

×こんな対応はNG!!
  • 「このくらいで痛いんですか?」と患者さんの感覚を否定する発言
  • 「この治療、結構大変ですよ」と患者さんの不安をあおる
  • 「前のクリニックは何もしてくれなかったんですか?」と他院を批判する

これ、全部「言わなくていいこと」です。自分が不安で緊張している時にこのようなことを言われたら、せっかく勇気を出してクリニックに来たのに、次回来るのが嫌になってしまいますよね。悪気なく言ってしまっていることが多いので、心当たりがある人は気をつけましょう。

前提として、クリニックに来たいと思っている患者さんはいないと思っていた方がよいでしょう。特に歯科治療は、痛い、怖いといった印象があったり、治療が長期間になったりとマイナスイメージを持っている患者さんが多くいます。

余計なひとことが患者さんの気持ちを傷つけることもあるので、慎重な言葉選びを心がけましょう。

まとめ

歯科衛生士として患者さんと良好な関係を築くためには、患者さんの話に耳を傾け、慎重な言葉選びを心がけることが重要です。患者さんに寄り添う姿勢を示すことで、信頼関係を深め、メインテナンスのリコール率の向上にもつながってきます。日々のコミュニケーションを見直し、患者さんに安心感を与えられる歯科衛生士を目指しましょう!

↓こちらの記事では、より実践的な声かけのコツを紹介しています♪

患者さんとの信頼関係を築く声掛けのコツと実践テクニック
患者さんとの信頼関係を築くことは、歯科衛生士としてのやりがいにつながります。信頼関係構築の基本、効果的な声掛けのコツ、自費率・物販率アップのポイントを解説。コミュニケーションを武器に患者さんとの関係を深め、仕事をより楽しく、自信を持って取り組めるよう応援します!