あなたは、何かを始める前に「完璧」を待っていませんか？
知識が十分身につくまで、技術が完璧になるまで、準備がすべて整うまで―――そう思って、大切なチャンスを先延ばしにしていませんか？
実は、これが成長と人生を止める、最も静かで危険な罠なんです。
歯科衛生士として働いていると、こんな声をよく聞きます。
- 「患者さんに正しい情報を提供してあげたい、でも自信がない。もっと学んでから…」
- 「新しい職場への転職を考えているけど、基本的なスキルが完璧になるまで、今は動けない」
- 「独立して活動してみたいけど、実績や人脈がないから、私にはまだ無理」
こういった想いを抱えている人、結構多くいると思います。
そして、ここが重要なんですが、これって実は、「完璧を目指す姿勢」ではないんですよね。「完璧を言い訳にして、動かない姿勢」になってしまっているんです。
これは私の持論なんですが、完璧主義の人は、完璧を求めているのではなく、「完璧になるまで動かない理由」を無意識に探しているのではないかと思うのです。
例えば、正社員で働いている友人の歯科衛生士が、こんなことを言っていました。
「副業でセミナー講師をしたいんだよね。けど、もっと知識がないとできないと思うの。だから、今はまだ勉強の段階。」
そして半年後、彼女はまた同じ話をしていました。
1年後も、同じ話をしていました。
「完璧になったら」という約束は、永遠にやってきません。なぜなら、完璧は存在しないから。
完璧を求める人が、本当に恐れているのは何だと思いますか？
それは「失敗すること」です。正確には、「失敗している自分」を誰かに見られることかもしれません。
- 知識不足で、患者さんに質問されて答えられなかったらどうしよう
- セミナーやプレゼンで、うまく話せなかったら恥ずかしい
- 独立して、うまくいかなかったら自分の価値が下がるんじゃないか
こうした「他人からの評価」が気になってしまい、行動に移すことができなくなってしまうんです。だから、「完璧になるまで」という言葉で、自分を守ろうとしてしまう。
動かなければ失敗することはない。
動かなければ、できない自分を見せなくて済む。
でも、ここで気づいてほしい。
その「完璧」が、実は自分の人生を止める呪いになっていませんか？
ちなみに、ここで重要な前置きを入れておくと、完璧を目指すこと自体は、決して悪いことではありません。その姿勢があるからこそ、あなたは今まで成長してきたはずです。
問題は、その完璧さを言い訳にして「動かない選択」をしていることなんです。
完璧主義の強みを活かすためには、「完璧を目指しながらも、60点で動く勇気」が必要。これが実は、最強の組み合わせといえます。
もちろん、慎重さは大事です。
リスク管理も必要です。
でも、過度な慎重さは、最大のリスクにも当てはまります。
なぜなら、世界は常に動き続けているから。
ちょっと壮大な話をしてしまいましたが、何が言いたいかというと、あなたが「完璧になるまで」と準備しているその間に、別の誰かは、すでに行動を始めているんですよね。
独立して同じことをやろうとしていた人が、実績を重ねている。
セミナー講師をやりたかった人が、もう講演をしている。
新しい職場で挑戦したかった歯科衛生士が、もう新しい分野で活躍している。
そして1年が過ぎたとき、あなたと彼女らの差は、才能の差ではなく、「動いたか、動かなかったか」という、その違いだけになる。
さらに悪いことに、あなたの動かなかった1年は、あなたの「もう遅い」という気持ちをさらに加速させてしまいます。
「あの人にはもう実績がある。でも私は何もしていない。だから、もっともっと完璧にならないといけない。」
こうやって、完璧の沼は、どんどん深くなってしまうのです。
では、どうしたらいいのでしょうか？
答えは、シンプルです。
「100点を待つな。60点で動け」
これに尽きます。
独立するのに、完璧な知識はさほど必要ではありません。
セミナー講師をするのに、業界のすべてを知っている必要はありません。
患者さんに指導や提案をするのに、完璧なテクニックは不要です。
なぜなら、完璧は「行動のなか」で生まれるから。
知識は、実践のなかで深まります。
技術は、失敗のなかで磨かれます。
成長は、「動く→修正する→また動く」―――このループのなかでしか起きないんです。
60点で動き始めた人と、100点を待つ人。
果たして1年後、どちらが成長していると思いますか？
答えは明白ですよね。
60点で動いた人は、もう120点、150点に進化しているはずです。一方で、100点を求めていた人は、まだ準備段階にいるでしょう。
では、実際にどうやって「60点で動く」という決断をすればいいのでしょうか？
それは、自分自身に「許可を与える」ことから始まります。
許可を与えるということは、つまり、「今の私で十分だ」と認識することです。
完璧になることを待つのではなく、今のあなたのまま始めていいんだ、という許可を自分に与えてみてください。
知識が100％でなくても、テクニックが完璧でなくても、実績がなくても。あなたが持っているもの、今のあなたの経験や視点、想いだけで十分なんです。「これじゃまだ足りない」「もっともっと」と、常に自分を評価し直す思考の癖は、一度捨て去ってしまいましょう。
完璧さの尺度ではなく、「これなら誰かの役に立つかな？」という視点で考えてみるのもおすすめです。たとえ知識が80％でも、あなたが知っていることを必要としている人がいます。テクニックが70％でも、あなたのやり方が誰かの役に立つんです。実績がなくても、あなたの経験や失敗談に価値があるんです。
ここまで進化してきた「今のあなた」は、すでに十分な価値を持っています。その許可を、自分に与える。それが、「60点で動く」ことの本質なのです。
完璧主義の人は「完璧になったら、やりたいことをやる」と思いがち。
でも、それは幻想です。
完璧は、永遠にやってきません。
なぜなら、世界は常に変わるから。
業界も、市場も、あなたの周囲も。
そのすべてが完璧に整うのを待つなんて、人生を完全に他人に預けているのと同じです。
完璧なタイミングを待つのではなく、「今、この瞬間」を選択する。その勇気こそが、あなたの人生を変えるチャンスなのです。
みなさんに質問です。
あなたは何を「完璧」になるまで先延ばしにしていますか？
やってみたい趣味？
挑戦したいキャリア？
新しい職場でのチャレンジ？
その「完璧」は、本当に必要ですか？
それとも、ただの言い訳にしていませんか？
もし、心の奥底で「やりたい」と思っていることがあるなら、完璧を待つのをやめてください。60点で、いや50点でもいいから、まずは一歩踏み出してみましょう。
もちろん、失敗するかもしれません。
でも、動かないことの方が、もっと大きな失敗です。なぜなら、人生は「やったこと」ではなく「やらなかったこと」に、最後は後悔するから。
完璧なあなたになる日は、残念ながら来ません。
でも、今のあなたで十分です。
今のあなたで始めるから、価値がある。
そして動くなかで、一緒に成長していきましょう。
完璧を追い求めるあなたではなく、成長を追い求めるあなたになってください。
