歯科衛生士という職業は、歯科医院という狭い空間の中で働くことが多いですよね。その狭い空間の中で、「院長と合わない」と感じることは珍しくありません。院長との関係がうまくいかず、毎日ストレスを抱えながら業務をこなしている方も多いと思います。
「診療がうまく流れないのは私のせい?」
「指示が曖昧でわからないけど、聞き返したら怒られそう…」
「頑張っても、何も言われないけど、私って必要なのかな?」
このように感じている方に向けて、院長と合わないと感じる原因と、どのように対処すれば少しでもストレスが減るのか、実際に私がコンサルとして介入したクリニックでの実例をあげながら解説していきます!
院長と合わないと感じる主な理由はこれ!
クリニックで勤務する上で、院長との関係は非常に重要ですよね。相性が悪いと、毎日嫌な思いをしながら働かねばならず、仕事に行くのも憂鬱になります。では、なぜ「院長と合わない」と感じるのか?それにはさまざまな理由があります。
価値観や治療方針の違い
歯科クリニックの診療の現場では、院長が治療の方向性を決定します。だから、歯科衛生士としては「もっと予防歯科に力を入れたい」「患者さんとのコミュニケーションを大切にしたい」と思っていても、院長が治療中心の考え方であれば、意見が食い違うことがあります。
- 院長は、患者さんの「痛い」という主訴のみを治療して終了で、歯周病のリスクのある患者さんに説明もさせてもらえない
- 予防の時間が短く、患者さんとコミュニケーションをとる時間がない
- もっと患者さんの意見をしっかり尊重してあげたい
こんなふうに思っている歯科衛生士の方、結構いらっしゃるのではないでしょうか。
なぜ価値観のズレが生じるのか?
院長は、自分のキャリアで培った治療経験や成功体験に基づいて診療をしています。一方、歯科衛生士は日々の患者さんとの関わりの中で、予防の重要性や患者さんの不安・ちょっとした変化に気づきやすい立場になります。
そのため、院長は「治療をどんどん進めていくべきだ」と考えるのに対し、歯科衛生士は「患者さんへの説明を積極的に行い、患者さんの意思も尊重しながら進めていきたい」と考え、意見のずれが生じることが多いのです。
院長によっては、「予防処置よりも治療が重要!」と考え、症状が出てから対処するスタイルをとっている場合もあります。特に外科処置を積極的に行う院長の場合は、抜歯やインプラントなどの治療を優先し、予防歯科の重要性を軽視するケースは少なくありません。
また、「効率重視」と「内容重視」の違いも要因の1つとなります。院長が短時間で効率的に多くの患者さんを診ることを重視する場合、じっくり時間をかけて患者さんへの指導や説明をしたい歯科衛生士との間で不一致が起こりやすくなります。(逆に、治療の質を最優先し、患者さん一人一人に時間をかける院長のもとでは、効率性を求める歯科衛生士との間で意見が合わないこともありえます。)
このようなズレがあると、歯科衛生士としての「もっと患者さんに寄り添いたいのに…」という気持ちから、やる気を失っていく歯科衛生士も…。
患者さんの満足度にも、影響を与えることがあります。例えば、患者さんが「しっかりと説明を聞いて、納得して治療を進めていきたい」と思っているのに、院長がちゃんと話を聞いてくれず短時間で治療を終えようとすると、不安を感じてしまう可能性があります。結果として、患者さんからの信頼を得る機会を失ってしまうかもしれません。
コミュニケーションの不足・指示が不明瞭
院長が忙しく、スタッフとのコミュニケーションが不足しがちになることは多々あります。その結果として、スタッフ側が「何をすればいいのか」が明確でなくなり、業務に支障が出ることが少なくありません。
- 指示がその日によって変わり、何が正解かわからなくなる
- 「適当にやっておいて」と言われ、具体的な基準が示されない
- 提案しても「いや、それはいいから」とすぐに却下され、意見を出す意欲が減少する
- 業務の優先順位が不明瞭で、無駄な手戻りが発生してしまう
こうした問題が日常的かつ継続的に続いてしまうことで、歯科衛生士のストレスが蓄積し、モチベーションを下げる原因になります。
なぜコミュニケーションが不足するのか?
- 院長が診療に追われ、スタッフと話す時間がない
- 指示を出すのが苦手な院長も多く、細かい指示を避ける傾向がある
- 「わかってるでしょう」という前提で曖昧な指示になってしまう
まずは、院長が診療に集中するあまり、スタッフとの対話を後回しにしがちということがあります。その結果、スタッフの意見を聞く時間が十分に確保されず、院長への不満が蓄積することに…。
また、歯科医師は、治療技術は優れていても、マネジメントや指示出しのスキルを学ぶ機会がほぼありません。そのため、「どのように指示を出せばいいのか」「どこまで具体的に指示をしたらいいのか」わからない院長も多いのです。
これまでの経験から、「そこまで伝えなくても理解できるだろう」と思い込む院長もいます。しかしスタッフにとっては、明確な指示がないため基準がわからず、業務がスムーズに進まない、どのように進めたらいいのかわかない…という迷いにつながります。
定期検診で来院している患者Aさん。通常だと半年に一回、P検・スケーリング・クリーニングを行っている患者さんです。しかしある時、院長に突然「スケーリングはやらなくていい」と言われました。歯科衛生士としては「なぜやらなくてよいのか?」がわからなかったと言います。
その後、院長に「なぜスケーリングしなくてよかったのか」を確認すると…
「Aさんは、確かに炎症があったけど、原因が歯石ではなくて、別の要因があるかもしれないと思ったから。先週から薬を飲んでいると(Aさん自身が)言っていたから、薬の影響で歯肉が炎症している可能性もあると思った。薬は5日分もらっているらしいから、2週間後に来てもらって、歯石が原因ならスケーリングでいいんじゃないかな」
と教えてくれたそうです。
私はこの話を聞いて、「そこまで言ってくれないとわからないよー!!」と思ってしまいました…。でも、忙しい診療中に、院長からここまで詳しく説明してはもらえないことって、あるあるですよね。院長からの補足情報を待っているだけではなく、この方のように、歯科衛生士側からもわからないことがあったらすぐに聞いてみるというのは大切かもしれません。
労働環境や待遇への不満
歯科衛生士の働きやすさに大きく影響するのが、この問題です。給与やシフト、スタッフ間の待遇の差など、不満が多くなってくると、仕事に対するモチベーションが低くなり、離職の原因になってしまうかもしれません。
- 給与が上がらない
- 残業代が支払われない
- シフトが厳しく、希望する日に休めない
- 新人が高待遇で入社し、長年勤務しているスタッフとの差が生じている
- シフトの調整が不公平で、一部のスタッフだけ負担が大きい
- 院長が「スタッフは自分より下の存在」と考えており、意見が尊重されない
クリニックという狭い環境だと、経営方針や経済状況により待遇が改善されにくい場合があります。院長が経営を最優先に考えている場合、スタッフの給与や待遇の改善が後回しになることがあります。院長によって経歴は様々ですが、だいたいの場合、自分のクリニックが最初のクリニック、つまり「自分のクリニックしか知らない」わけです。そのため、他のクリニックとの比較もしづらく、スタッフの待遇についてもクリニックごとで大きな差が生まれやすくなっています。
次に、慢性的なスタッフ不足により、一人当たりの負担が増えていることも要因の一つです。今は歯科衛生士が全国的に不足していて、2024年の求人倍率は約23倍とも言われています(「歯科衛生士の6つの魅力」公益社団法人日本歯科衛生士会)。新しいスタッフがなかなか定着しない職場では、残っているスタッフの業務量が増加し、不満が溜まりやすくなります。
また、院長が労務管理に関心を持たないことも挙げられます。診療や経営などやるべきことが多くあり、スタッフの労働環境に対する配慮が不足し、聞き取る時間も取れない。そういったことから、適切な労務管理が行われないケースも多いです。
このように待遇が悪い状態が続くことで、「院長から大事にされていない」とスタッフが感じてしまい、「院長と合わない」と感じるようになります。
院長の指導スタイルとスタッフの受け止め方の違い
院長の指導スタイルが、スタッフにどのように受け止められるのか。この相性の問題も、働く上で大きなストレス要因になります。厳しすぎる指導や、逆に放任主義、感謝や労いの言葉が少ないことなどが、不満の原因となることが多いです。
- 院長が細かいミスをすぐに指摘し、厳しく叱られる
- 放任されすぎて、質問しても「好きにやってくれていいから」と言われる
- 「ありがとう」や「お疲れ様」などの声掛けが全くない
このような状況では、どんなに努力しても報われない…とモチベーションが低下してしまいますよね。
「怒られるのが怖くて話しかけづらい」
「ミスを指摘されるだけで、褒められることはない」
「機嫌がよければいいけど、悪い時のことを考えたら話しかけたくもない」
と、どんどん負のループに。
このような状況が続くと、ストレス増加による精神疲弊、歯科衛生士とての自信喪失、業務の積極性が喪失、職場の雰囲気が悪化…スタッフ同士の関係に影響が出てしまう可能性もあります。特に、厳しく高圧的な院長の場合、離職につながってしまうことが多い印象です。
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なぜ院長はスタッフとの関係を築くのが苦手なのか?
院長とスタッフの関係がうまくいかない背景には、院長自身が抱える課題や環境要因が大きく影響しています。
- 経営者としてのプレッシャーが大きく、スタッフとの関係構築に意識が向かない
- 医療技術に集中してきたため、指導方法やマネジメントを学ぶ機会が少ない
- 人手不足や業務過多で、精神的な余裕がない
- 「上司」としての立場を意識しすぎて、距離を置こうとする傾向がある
多くの院長は、決して意図的にスタッフとの関係を疎かにしているわけではないんです。
クリニックの経営は、診療の質を維持しつつ、経営的な安定も確保しなければならないため、院長にとって負担は非常に大きいもの。経費管理や売上確保に追われる中で、経営や診療に集中するあまり、結果としてスタッフとのコミュニケーションに時間を割く余裕がなくなり、距離が広がってしまうことが多くあります。
先ほども記述しましたが、院長は歯科医師としての技術向上を第一に考えてきたため、経営やスタッフマネジメントに関する教育を受ける機会が少ないことが一般的です。そのため、スタッフとの円滑なコミュニケーションの取り方や、適切な指導方法がわからず、関係構築がどんどん苦手になってしまう傾向があります。
また、慢性的な人手不足や予約過多の状態では、院長自身も診療に追われ、常に時間との戦い。そんな状況では、スタッフとの会話や意見を聞く時間が十分に取れないのは無理もありません。その結果、指示が一方的になったり、スタッフの不満を見落としてしまったりすることが少なくありません。
そして意外に多いのが、「上司」としての立場。院長としての威厳を保とうとするあまり、スタッフとの関係が形式的になりすぎる歯科医師は多いです。「上司と部下」という関係を強調しすぎると、スタッフが意見を言いづらくなり、コミュニケーションの機会がますます減少する悪循環に陥ることがあります。
このような背景から、院長がスタッフとの関係構築に苦手意識を持つことはとても多いのです。だからこそ、院長自身も忙しく、ストレスを抱えていることを理解し、互いに歩み寄る努力をすることで、少しずつ関係を改善していくことができるはずです。
今悩んでいる方も、案外、院長側の立場になって考えてみると、視点が少し変わるかもしれません!
実例!これをやったら改善されたよ!
ここからは、私がコンサルティングで介入しているクリニックの実例をお話しさせていただきます。院長のタイプやスタッフの考え方はそれぞれですが、大切なことは「お互いに協議し理解を深めること」「共通のルールや仕事のやり方をすり合わせること」なのではないでしょうか。
歯科衛生士Aさんの改善事例★
ある歯科衛生士Aさんの事例を紹介します。実際に私が出会ったときは、入職して3ヶ月目の終わりあたりだったと記憶しています。私との面談で、悩んでいること、最悪辞めようかと思っていることを打ち明けてくれました。その時点で、周りのスタッフの方にも相談できないのかもしれないな…と察知し、一緒に解決していけそうな方法を考えました。
入職〜3ヶ月目:「院長と合わない…」と感じてきた
- 院長の指示が曖昧で、何を優先すればいいのかわからない
- 指示がはっきりとしないまま動くと、「なんでそんなことやってるの?」と注意される
- 院長の機嫌に振り回され、何を考えているのかわからず疲れる
- 他のスタッフは特に不満を言っておらず、「自分だけがうまくいっていないのかも…」と落ち込んでしまう
相談して、Aさんに試してもらったことは、
- 院長に注意されるパターンを記憶し、「何がNGなのか?どんなことが気にさわるのか?」を整理してみる
- 他のスタッフに「院長はどんな指示の出し方をする人ですか?」と聞いてみる
まずは、院長の様子を客観的に見てみることと、他のスタッフに話を聞くことで、現状を整理することから始めました。
4ヶ月目:話し合いを決意するまで
- 毎日ストレスを感じる状態が続き、「このままでは続けられない」と思い始める
- 院長と直接話すことに不安を感じたので、信頼できる先輩歯科衛生士に相談してみた
- 先輩から「院長は、自分の考えが伝わっている前提で話すことが多いから、こっちから具体的に確認したほうがいい」とアドバイスをもらった
- 先輩が「私も最初は大変だったけど、やり方を工夫したらだいぶ楽になったよ!」と言ってくれたことで、改善の余地があるかも…と思えた
この時点で、Aさんが行ったアクションは、まず院長の指示が曖昧な場合に、すぐに詳細まで具体的に確認すること。要するに、聞き返すことです。院長の価値観がわからないと、院長の指示が理解できない!ということで、まずは院長のことを知ろうとすることを試みました。
次に、優先順位を明確化することを心がけました。「今すぐ必要なことと、後回しでいいことを教えてもらえませんか?」とタイミングを見計らい、優しく聞いてみました。すると院長から「今はこういう状況だから、これが先。もし違う状況だったらこっちが先って考えるんだよ」と教えてもらうことに成功!
私から見ていても、このあたりからAさん自身も少し自信が出てきたのかなといった印象でした。
5ヶ月目:思い切って院長と話してみることに
- 院長と1対1で話すのは不安だったので、休憩時間に先輩歯科衛生士も交えて話す場を設けてもらった
- 伝え方に気をつけながら、改善したいポイントを相談した
まずは院長と話をする場をセッティング。その時にも「お忙しいところすみませんが、相談したいことがありまして…」といったように、丁寧にセッティングすることが重要です!!
驚くことに、Aさんから「院長の指示が曖昧で、優先順位を間違えてしまうことがあって…。私がもっと効率的に動けるように、工夫できることがあれば教えてもらえますか?」と相談すると、院長は、
「えっ?俺、そんなに曖昧に言ってる?」と驚いた様子でした。
しかし、その時すかさず先輩歯科衛生士が「先生、私も最初は悩んでましたよ!でも、先生が考えていることをもう少し具体的に伝えてもらえると助かります!」とフォローしてくれました。
Aさんだけでなく、他のスタッフもそう感じていることが院長にも伝わり、「そうか…じゃあ、これからはもっとはっきり言うようにするわ!」と前向きな姿勢になってくれました。
- 「先生の言い方が悪い」と責めるような言い方をしないで、「自分がうまく理解できていない」と伝えることで、相手に敵対心をもたせないようにした
- 先輩歯科衛生士に同席してもらい、フォローをしてもらうことで、院長に気付きを与えやすくした
院長に自分の気持ちが伝わったことで、このあと、少しずつ変化がみられますよ。
6ヶ月目:状況が少しずつ変わり始めた時期
- 院長が、指示の際「これを先にやって!」と優先順位を言ってくれるようになった!
- 院長も意識し始めたことで、「あ、これ後でいいやつね!」と院長側から言う場面も出てきた!
- Aさん自身も、指示を受けたときに「このあと滅菌かけておきますね」と自分の動きを伝えるようになった
- 院長が「Aさん、今日はスムーズだったね」と声をかけてくれるようになり、少し自信がついた
院長と話をする時間を設けた後、仕事へのモチベーションも上がって前向きになれたAさん。少しずつ変化が現れました。院長も最初は「なんて言ったらいいかわからない」と言った様子でしたが、だんだん「こういうふうに言えば伝わるんだ」と気付いた様子。
この時期にAさんが気をつけたことは、まず「言われたことをただやる」だけでなく、「自分から進め方を伝える」ことで、指示のズレをなくす努力をしたこと。また院長の変化を感じたら、小さなことでも「ありがとうございます!」と感謝を伝えるようにしました。院長も「こういう言い方でいいのかなぁ?」と悩みながら実践してくれているので、Aさんからお礼を言われると「これで合ってるんだ!」と肯定的に捉えることができ、さらに継続されやすくなったようです。
この頃から院長は、コンサルの私にも、スタッフさんの良いところを話してくれるようになってきて、医院全体の雰囲気が良くなってきていることがわかりました。
9ヶ月目:仕事がスムーズになってきた時期
- 指示の出し方が改善され、仕事の流れの理解が深まった
- 院長がイライラする場面が減り、以前より話しかけやすくなった
- 院長自身も「俺、前よりちゃんと指示出せてる?」とAさんや先輩歯科衛生士に聞くように!お互いの理解が深まり、関係がよくなってきた
このように院長が少しずつ変化してくれると、あとは継続していくだけです。この時にAさんが気をつけるべきなのは、院長の意識を継続させること。具体的には「先生、この指示の出し方、すごくわかりやすくってよかったです!」とポジティブなフィードバックをすること。また、いまだに曖昧な指示が出ている場合は、「これって、この順番で進めていいですか?」と確認し、再び曖昧な指示へとならないように回避することです。
明確な指示の出し方を、院長にとっての当たり前にしてしまえば、Aさんの勝ち。そうすれば自分の仕事のやりやすさ、モチベーションに大きく影響することから、Aさんは努力し、結果実った形となりました〜!!
こういう院長だと長引くかも…?
今回のパターンは9ヶ月ほど時間がかかりましたが、院長のタイプ次第では、もっと短く改善することも可能だと思っています。一方で、もっと時間がかかってしまうパターンもあります。整理しておきますので、自分の院長はどこに当てはまるか見てみてください。
- 院長が話を受け入れやすいタイプで、相談するとすぐに意識してくれる
- 他のスタッフも同じ悩みを持っていて、一緒に変えていこうという雰囲気がある
- 話し合いのタイミングがよく、院長の機嫌が悪くない時に相談できた
- 伝え方がうまくいき、院長も納得しやすかった
このような場合は、1回の話し合いで院長も「なるほど!じゃあ意識してみるね。見直してみるよ」となり、1〜3ヶ月で解決することもあります。
- 院長が「自分は間違ってない!」と思い込んでいるタイプ
- そもそも忙しすぎて、院長がスタッフの話を聞く時間の余裕がない
- 何度か働きかけても、院長がなかなか変わろうとしてくれない
- スタッフがみんな我慢していて、職場全体が「変わらないのが当たり前」な雰囲気
こんな院長の場合は、1回の話し合いではまとまらず、少しずつ関係を作りながら改善していくことになります。Aさんの事例では話し合いは1回でしたが、「時間がかかるパターン」の院長では、まず1回目にコミュニケーションをとる場を作り、2回目で少しずつ院長の考え方などを聞いていきます。3回目からは、自分たちの意見もおりまぜながら提案していくようなやり方がおすすめです。
どれくらい時間がかかるかは、職場の状況次第なので、まずは試してみて様子を探るのもよいと思いますよ。
ほかにはこんな方法がある!
上記は、私の目の前で起きた事例でしたが、方法は1つではありません。参考までに、ほかの方法をお伝えしますね。
スタッフで一致団結する
同じ職場で働くスタッフ同士で悩みを共有することも、状況を改善するための有効な手段です。他のスタッフも同じ悩みを抱えている場合、問題が個人的なものではなく、職場全体の課題であると認識できるかもしれません。
- 信頼できる先輩歯科衛生士に悩みを打ち明ける
- 主任やチーフを通じて院長に伝えてもらう
- スタッフ全員で意見をまとめ、院長に改善提案を出す
- 定期的なミーティングで、業務の課題や改善点を話し合う
職場内で話し合うことで、孤立感を減らし、働きやすい環境を作ることが可能になります。院長との関係に悩んでいるのが自分だけでないと気づくだけでも気持ちが楽になりますよ!
割りきって仕事をする
もし、何度か改善を試みても院長との関係が良くならない場合、「割り切る」ことも一つの方法です。仕事と割り切り、感情をなるべく入れずに淡々と業務をこなすことで、余計なストレスを感じにくくなります。
- 院長の言動に感情的に反応せず、必要な業務だけに集中する
- 必要最低限のやり取りのみとし、プライベートな感情を持ち込まない
- 「この人はこういう性格の人なんだ」と理解し、期待しない
- 自分がプロフェッショナルとして業務を全うすることに注力する
このように割り切った対応をすることで、精神的な負担を減らし、仕事をスムーズにこなすことができるようになるかもしれません。
転職も考えてみる
どうしても関係が改善せず、ストレスが限界に達している場合は、転職を考えるのも一つの選択肢です。今や歯科衛生士は、職場を選びたい放題。多くのクリニックがあなたを待っています。つらい思いをしてまで今のクリニックに留まるべきか、冷静に考えてみてもいいかもしれません。
- 今の職場で自分のスキルやキャリアアップが望めるか
- 仕事の充実度よりも精神的な負担が大きくなっていないか
次の職場で同じような問題が起きないようにしっかりと情報収集をして、転職先は慎重に選びましょう。
「転職は逃げ」と思っている人もいますが、私は違うと思います!「より良い環境で自分らしく働くための選択」です。自分の働き方を見直し、より良い職場環境を求めるのは、前向きな決断と言えます!
また、人間関係に悩みがちな人は、フリーランスになるのもおすすめです。フリーランスとして働くと、1つの歯科医院の狭い世界にとどまることがないので、「院長と合わない」という悩み自体が小さなことに感じられるようになるかもしれません!
院長との関係に悩んだ末にフリーランス歯科衛生士になり、今はストレスフリーな働き方ができているという田部さんのストーリーはこちら♪

まとめ
院長との関係に悩んだ時、まずは価値観やコミュニケーションの違いを理解してみましょう!その上で関係改善を試みることが大切です。それでも状況が変わらない場合は、私たちにはさまざまな選択肢があります。
働く環境は、仕事のやりがいや人生の満足度に大きく影響します。職場にとどまるか、新たな道を探すか、最終的には自分自身の幸せとキャリアの発展を考えて最適な選択をしましょうね!
院長と合わないと感じることは珍しくないので、職場でのストレス軽減、自分のキャリアや健康を守るために、自分に合ったベストを探していきましょう。